平音 激音 濃音の違い

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韓国語を学び始めた多くの人が直面する共通の壁となるのもの、それが平音(へいおん)、激音(げきおん)、そして濃音(のうおん)の区別です。

特に、ハングル文字に慣れていない段階では、「가(カ/ガ)」、「카(カ)」、「까(カ)」といった音が日本語のカタカナだとどれも「カ」と表記されてしまい、その微妙な違いを捉えられずに学習の手が止まってしまうことがあります。

ふりがなを追っていると、「カ」「タ」「パ」「チャ」なのか「ガ」「ダ」「バ」「ジャ」なのか、音の区別がつかなくて悩むことはよくありますよね。

この一番の解決策は、早くカタカナのふりがなを卒業することです。

そのためには、それぞれの音の理屈をきっちり覚えることも大切です。

この記事では、韓国語の発音の中でも特に重要なこれら三つの音、平音、激音、濃音を、具体例と実践的な練習法を交えながら解説します。

発音のコツを掴んで、自信を持って韓国語を話せるようになりましょう。

目次

平音:優しく、時に濁る、韓国語の基本の音

平音は、韓国語の子音の中で最も基本的なグループで、全部で9つの子音があります。

具体的には、

ㄱ(キヨク)、ㄴ(ニウン)、ㄷ(ティグッ)、ㄹ(リウル)、ㅁ(ミウム)、ㅂ(ピウプ)、ㅅ(シオッ)、ㅇ(イウン)、ㅈ(チウッ)

です。

これらの子音だけでは発音の解説にならないので、基本的な母音の「ㅏ(ア)」をつけて

「가(カ/ガ)」、「나(ナ)」、「다(タ/ダ)」、「라(ラ)」、「마(マ)」、「바(パ/バ)」、「사(サ)」、「아(ア)」、「자(チャ/ジャ)

として見ていきましょう。

この9つのうち、今回特に取り上げる平音は、

가(カ/ガ)、다(タ/ダ)、바(パ/バ)、자(チャ/ジャ)

の4つです。

これらの音を日本語の音に置き換えようとすると、それぞれ「ガ」「ダ」「バ」「ジャ」に近い音になります。

ここで重要なのは「近い音」という点です。

日本語の濁音とは完全に一致しません。

日本語の濁音は声帯を震わせる有声音ですが、韓国語の平音は「無気無声音」、つまり息が少なく、声帯を震わせない音の性質も持ち合わせているため、聞き取りや発音を難しく感じる人もいます。

平音の音の変化

また、この4つの平音は単語の文頭に来る時と、文中に来る時とで発音に少し違いがあります。

この音の変化を理解することが、より自然な発音への第一歩です。

1,文頭に来る時

「가」「다」「바」「자」が、それぞれ「カ」「タ」「パ」「チャ」に近くなります。
ただし、日本語の無濁音のように息を強く出すのではなく、息の量を抑えめに、少し硬質な響きで発音されるのが特徴です。
これは、息が少なく、声帯を震わせない「無気無声音」として発音されるためです。
例えば、「가다(カダ/行く)」の「가」は、日本語の「カ」よりも息が少なく、詰まったような感覚です。
発音する際は、喉の奥を軽く締め、空気が喉を通過する際の摩擦を意識すると、この「硬質な響き」を出しやすくなります。

2.文中に来る時

「ガ」「ダ」「バ」「ジャ」と、日本語の濁音に近づきます。
これは、前の音と連結して滑らかに発音される「連音化」の一種と考えることができます。
この場合、声帯が震える「有声音」の性質を帯びます。
例えば、「미국(ミグク/アメリカ)」の「국」の「ㄱ」は、まるで「グ」に近い音に聞こえるでしょう。
日本語の濁音を発音する際のように、喉の奥からしっかりと声を出すイメージを持つと良いでしょう。
この変化は、韓国語の会話の流暢さにも大きく影響するため、意識的に耳で聞き分け、口で再現する練習が重要です。

平音を私たち日本人が難しく感じてしまうのは、1の文頭に来る時のケースです。

具体例で考えてみましょう。

부산(プサン/釜山)」という地名を例として考えます。

これは、「プサン」と発音するのでしょうか、それとも「ブサン」でしょうか?

正解はどちらでもなく、強いて言えば「プ」寄りの「ブ」といったイメージです。

日本語の「プ」をしっかり発音する時よりも息を強く出さず、かといって「ブ」のように完全に濁らせるわけでもない、その中間のような音です。

日本語の「プ」の発音は韓国人の耳には「푸」と聞こえることが多く、「プサン」と発音すると韓国人の耳には「푸산」と聞こえて、全く違う違う単語になってしまい、何度も聞き返されるなんてことになってしまいます。

ろは

他にも日本人の発音の「タ」は「타」に、「ピ」は「피」と韓国人の耳には聞こえることが多いです

日本人が平音を自然に発音するためのイメージとしては、日本語の濁音の「ガ」「ダ」「バ」「ジャ」から、濁点の点を一つだけ取り去ったような感覚で発音すると、より自然な音に近づきます。

この微妙なニュアンスを掴むことが、韓国語らしい発音の鍵となります。

この曖昧な音が、先程の息が少なく、声帯を震わせない「無気無声音」として発音するということなのです。

韓国人で日本語も堪能な筆者の妻にこの発音について詳しく聞いたところ、韓国人はこの音が変わることについてあまり大きく意識はしていないのだそうです。

彼らにとっては自然な発音の変化であり、特に意識して使い分けているわけではないとのことでした。

反対に、日本語を学習する韓国人にとって、日本語の清音、特に「カ行」の聞き取りの際、「ガ行」に聞こえてしまうことが多いようです。

日本語と韓国語と英語に挟まれて育っている私の息子も、ひらがなを書いたものをみると、清音に濁点をつけてしまっていることがよくあります。

息子は今のところ、日本語も話せますが、韓国語の方が「楽」に話せる言語なので、耳も韓国人よりなんだと思います。

日本語を長いあいだ学習している私の妻や、韓国語よりのバイリンガルで育っている私の息子の事例からみても、韓国語の平音は、濁音寄りに考えて間違えないと思います。

その為、私たち日本人が平音の発音の練習をする時も、「音としては日本語の濁音寄り、だけどその濁点がひとつ減る」というイメージで発音練習するのがおすすめです。

ろは

他言語を学ぶときは、日本語と全く同じ音でないことの方が多いので、練習する時は、このようにイメージでとらえることが大切です

発音する際は、口や喉に力を入れすぎず、リラックスして優しく音を出すことを意識してください。

この「無気音に近いが、完全に無気音ではない」という中間的な性質を掴むことが、ポイントとなります。

激音:息を強く、勢いよく出す音

激音は

ㅊ(チウッ)ㅋ(キウク)ㅌ(ティウッ)ㅍ(ピウプ)ㅎ(ヒウッ)

です。

「ㅎ」は日本語の「は」とほとんど同じなので、それ以外の4つに基本的な母音の「ㅏ(ア)」をつけて

차(チャ)、카(カ)、타(タ)、파(パ)

を見ていきましょう。

激音は息を強く出しながら発音します。

この「息の量」が非常に重要で、日本語にはこれほど強く息を伴う子音は少ないため、特に意識して練習する必要があります。

激音は「有気音(ゆうきおん)」とも呼ばれ、発音時に口から大量の空気を勢いよく放出する特徴があります。

例えるならば、空気の塊を勢いよく押し出すような感覚です。

この強い息の放出こそが、激音を激音たらしめる本質です。

寝るという意味の「차다(チャダ)」で練習してみましょう。

・まず日本語の「チャ」を発音する口の形を準備します。


・そのまま肺から強く、そして勢いよく息を吐き出しながら「차」の音を出してみてください。


ポイントとしては、声を殺しながら「チャ、ハーッ!」といった具合です。

日本語の「は行」も息を伴いますが、激音はそれよりもさらに破裂的で、勢いのある息の音であることを意識しましょう。
喉を締め付けず、肺からダイレクトに息を押し出すイメージです。

上手くいったでしょうか?

카(カ)」を例にとるならば、喉が渇いたときに冷たい飲み物を飲んで、「カァーッ!」というようなイメージの音です。

お酒を飲む人ならば、夏の暑い日に生ビールを口にした時にでてくる、あの感じです。

日本語の「カ」よりも、ずっと強い息の放出を伴います。

発音する際は、肺からしっかりと空気を押し出す意識を持ってください。

この息の強さが、激音と平音、濃音を区別する上で最も重要なポイントとなります。

正確な激音の発音は、単語の意味を正しく伝えるためにも不可欠です。

例えば、「불(プル/火)」と「풀(プル/草)」のように、激音か平音かで全く意味が変わる単語も多く存在するため、この区別は非常に重要です。

実践!ティッシュペーパーを使った激音練習法

激音の発音をマスターするための非常に効果的な練習法を一つご紹介します。

私自身もこの方法で、発音のコツを掴むことができました。

視覚的に自分の発音を確認できるため、感覚を掴みやすいでしょう。

1. 薄いティッシュペーパーを1枚用意してください。

2. そのティッシュペーパーを、発音する口の前に約5〜10cmほどの距離でかざします。

3.この状態で激音(例: 차, 카, 타, 파)を発音してみましょう。

口の前にかざしたティッシュが大きく動けば、正しく息が強く出せており、激音の発音ができています。

・ティッシュがほとんど動かない場合は、まだ息の量が足りません。

肺からの息を意識的に強く出すよう心がけて、この方法で何度も口に出して練習してみてください。

鏡の前で自分の口の動きや、息を強く出す際の腹部の動き(横隔膜を使う意識)を確認しながら行うのも良いでしょう。

最初は意識して息を出すことに集中し、徐々に自然に激音が出せるように練習を重ねましょう。

この練習法は、視覚的にフィードバックが得られるため、非常に効率的です。

ろは

私も最初はこの方法で激音と濃音の出し方のコツを理解できるようになりました

濃音:息を抑え、喉で固める音

濃音は

ㄲ(サンギヨク)ㄸ(サンディグッ)ㅃ(サンビウプ)ㅆ(サンシオッ)ㅉ(サンジウッ)

です。

今までと同様に、基本的な母音の「ㅏ(ア)」をつけて

까(カ)、따(タ)、빠(パ)、싸(サ)、짜(チャ)

で見ていきましょう。

濃音は激音と反対で、なるべく息を出さずに発音します。

喉で声を出すというイメージで発音するといいと思います。

これは「無気硬音(むきこうおん)」とも呼ばれ、声帯は震えませんが、口の中の気流が強く、緊張して発音される音です。

まるで、喉の奥で音をキュッと「固める」ような感覚です。

もう一つのポイントは、発音する音の前に日本語の小さい「っ」(促音)を入れて発音する感じです。

この、小さい「っ」を意識することが、濃音の発音の大きな理解につながります。

「っ」と一時的に息を止めるような感覚の後に、息をほとんど出さずに音を「押し出す」ように発音すると、より自然な濃音になります。

この時、喉の奥や舌の付け根あたりで、空気をギュッと「貯め込む」ような感覚が非常に重要です。

この「詰まり」と「緊張感」が濃音の核となります。

日本語の「小さい『っ』」に似ていると言われることがありますが、濃音はその後ろの音も「硬く」発音される点が異なります。

日本語の促音は音自体が詰まるのに対し、韓国語の濃音は音を「強く、硬く」出すために喉を締めるという違いがあります。

練習方法

「しょっぱい」という意味の「짜다(チャダ)」で練習してみましょう。

今回も激音の時と同じように、ティッシュペーパーを使います。

ティッシュペーパーを口の前にかざし、発音の直前に喉をぎゅっと締め付けるような、あるいは舌の付け根で空気の通り道を塞ぐような感覚を意識します。

息を極力出さずに、その喉の緊張を保ったまま、音を「突き出す」ように「짜」と発音します。

今度はティッシュが動かなければ正しい発音ができています。

もしティッシュが動いてしまう場合は、まだ息が漏れてしまっています。

息を極力抑えることを意識し、喉の奥で音を「固める」感覚を掴むまで、これも何度も声を出して練習しましょう。

日本語の「小さい『っ』」の後に続く音よりも、さらに息を抑え込む意識が重要ですし、それが濃音独特の硬質な響きを生み出します。

この練習を繰り返すことで、喉の筋肉が鍛えられ、より正確な濃音の発音が可能になります。

濃音は、感情を表現する際にもよく使われる音なので、感情を込めて発音する練習も効果的です。

まとめ

発音で大切なのはカタカナ読みを早い段階で捨てるということです。

なぜなら、カタカナ読みに引きずられていると、本当の音がイメージできるようにならないからです。

カタカナはあくまで学習の補助輪であり、いつまでもそれに頼っていては、韓国語の繊細な音のニュアンスを習得することはできません。

ハングル文字をまだ完全に暗記できていないうちは大変かもしれませんが、最初に間違った発音の癖をつけてしまうとなかなか治りませんので、なるべく早くカタカナを卒業するのがおすすめです。

そのためには、日本語の音にあるもの、近いものを探して、頭で理解した上でイメージを持っていくことが大切です。

平音、激音、濃音それぞれが持つ「息の量」と「喉の緊張」の違いを意識し、理論的に理解することで、より効率的な練習が可能になります。

そして何よりも一番大切なのは、声に出して何度も練習することです。

実際に自分の口を動かし、耳で自分の発音を聞き、それを修正していくという反復練習こそが、発音をマスターする唯一の道です。

ティッシュペーパーを使った練習法のように、視覚的なフィードバックを得ながら練習するのも非常に有効です。

また、自分の発音を録音してネイティブの音声と比較することも、客観的に弱点を発見し、改善するための強力なツールとなります。

オンラインの言語交換パートナーや、韓国語教室の講師から直接フィードバックをもらうことも、上達への近道です。

彼らの発音を徹底的に真似る「シャドーイング」も、非常に効果的な練習法の一つです。

発音は、韓国語学習の楽しさを大きく左右する要素です。

正確な発音ができるようになれば、ネイティブとのコミュニケーションがスムーズになり、自信を持って話せるようになるようになれます。

最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、地道な努力を続ければ、必ずこれらの発音の違いも理解し、習得するできます。

韓国語学習の楽しさは、言葉が通じる喜びへとつながります。

少しずつの時間でも構いません。

辞めずに続けていれば、韓国語は必ず話せるようになります。

頑張っていきましょう。

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