・文法はある程度理解できるようになってきたのに、音声になると全く聞き取れない
・韓国ドラマのセリフが流れるように早すぎて、単語が拾えない
・毎日たくさんの韓国語コンテンツを聞いているのに、リスニング力が伸びている実感がない
韓国語学習を進めている過程でこのような悩みは持っている人は多いと思います。
聞き取りはむずかしいですよね。
特に学び始めの時は、いつになったらドラマや歌詞が聞き取れるようになるんだろうと、学習のモチベーションも下がってしまう事もあるかと思います。
毎日たくさんの韓国語の音声のコンテンツを聞いているのに、聞き取りが伸びないと悩んでいる方は、学習方法が間違っているかもしれません。
実は聞き取りの力は、ただ音声を聞き流しているだけでは全く上達しません。
確かに聞く量を増やすこと自体は大切ですが、ただ流しているだけでは効果はほとんどありません。
リスニング力を伸ばすためには、量よりも 質の高い練習 が必要になります。
特に重要なのは、「自分のレベルに合った音声」を「意識的に」聞くこと です。
聞き取りの練習をするときに大きなヒントになるのが「事前情報」です。
何の話題で話しているのかを事前に知っておいたうえで聞き取り練習をすると、特に初級の時は効果が全く変わってきます。
想像してみてください。
日本語での会話でも途中から会話に参加したとき、最初は「何の話をしているのかわからない」という経験はありませんか?
しかし、会話の流れやキーワードがわかれば、すぐについていけるようになりますよね。
韓国語でも同じです。
全く予備知識がない状態で音声を聞くよりも、「これから天気の話をする」「今日は週末の予定について話す」といった テーマを知っている状態で聞く方が圧倒的に理解しやく、聞こえ方も全く変わってきます。
事前情報があれば、多少聞き取れない単語があっても「たぶんこういうことを言っているんだろう」と推測できます。
そして、その推測の精度を上げていくことこそ、リスニング上達の近道なのです。
最初のうちは事前情報がなるべく多ければ多いほどよいです。
なぜなら中級、上級になっても知らない単語を聞き取ることは難しいからです。
決まった話題の聞き取りという事で、初級の方に私がおすすめする聞き取りの学習法は天気予報です。
毎日の天気予報って誰が聞いてもわかるように、その日の天気を簡潔に伝えるものですよね。
韓国の天気予報も日本の天気予報と同じような構成になっています。
また、短い時間に必要な情報が詰まっているので、聞き取り練習の教材にはとても相性が良いのです。
この記事では、そんな天気予報を使った聞き取り練習を解説していきます。
なぜ天気予報なのか
聞き取れない原因を整理する
まず、なぜ韓国語が聞き取れないのか、その理由を整理してみましょう。
あなたは、聞き取れないと思っているそのフレーズを文章で見て、完全に理解する事ができていますか?
もし理解できていないのなら、聞き取れない答えは出ていますよね。
この場合は語彙力と文法の理解不足が原因です。
知らない単語を聞き取る事は困難ですし、読んで内容を理解できないものは絶対に聞き取れません。
では、別のケース。
文章を読んで内容は理解できるのに、音声になると聞き取れないという場合はどうでしょうか?
この場合は、語彙力の瞬発力不足と、発音の理解不足が原因として考えられます。
単語は知っていても、すぐにその意味が頭にでてこなければ、聞き取りでは意味をもちません。
見た瞬間、聞いた瞬間に意味がわかるように、瞬発力を鍛える必要があります。
発音の理解に関しても、連音化などのルールをしっかり理解できていなければ、せっかく知っている単語でも音が変わって聞き取れない、という結果になってしまいます。
特に瞬発力は、発実際に会話をするときにも非常に重要です。
単語を思い出すのに時間がかかっていては、思い出した時にはすでに話題が先に進んでしまっています。
聞き取りができない理由を整理すると、以下の3つのポイントをあげることができます。
1.語彙力と文法理解の不足
知らない単語はどれだけ聞いても意味を結びつけられません。
また文章を読んで理解できないものは、音声になっても理解できません。
2.瞬発力の不足
単語を知っていても、意味を思い出すのに時間がかかると会話にはついていけません。
聞いた瞬間に意味が浮かぶレベルまで鍛える必要があります。
3.発音変化への理解不足
韓国語には連音化、音の脱落、濃音化など、日本語にない発音変化があります。
文字では知っていても、音声になると全く別の単語のように聞こえてしまうことが多いのです。
聞き取りの力を伸ばすには、まずこの3つのポイントを意識的に練習する必要があります。
逆にいえば、この3つの壁を乗り越えなければ、どれだけ大量に聞いても聞き取り力は上がりません。
天気予報はリスニング学習の最強教材
リスニング練習に使える素材はたくさんあります。
ドラマ、バラエティ番組、K-POP、ニュース、ポッドキャスト…。
しかし、楽しむコンテンツとしてはよいのですが、聞き取りの練習教材と考えると、初心者にとってはどれもハードルが高いことが多いです。
ドラマは話すスピードが早すぎるし、テーマによっては日本語で理解するのも大変かもしれません。
バラエティは話の展開が早すぎたり、複数の人が同時に話したり、方言も入っていたりと、ついていくのが大変ですよね。
歌は、メロディーに引っ張られ、音が崩れることがよくありますし、ニュースは初級者には話す速度も早いし、話題も難しすぎます。
その点、天気予報は難しすぎず、初心者にぴったり の教材です。
理由を一つずつ見ていきましょう。
天気予報で練習するメリット
1. テーマが限定されているから理解しやすい
天気予報で話される内容は「今日の天気」「気温」「雨や雪の有無」といったごく限られたテーマです。
専門的な単語や複雑な構文はほとんど出てきません。
・「오늘은 전국에 비가 내리겠습니다(今日は全国的に雨が降るでしょう)」
・「내일 아침 기온은 영하 5도까지 떨어지겠습니다(明日の朝の気温は氷点下5度まで下がるでしょう)」
こういったフレーズは、単語さえ知っていれば理解できます。
同じような表現が繰り返し出てくるので、何度も聞くうちに自然とフレーズが定着していきます。
2. 長さがちょうど良い
天気予報は1分〜2分程度で終わります。
これは集中力を切らさずに取り組める絶妙な長さです。
逆にドラマやバラエティをそのまま勉強に使うと、10分、20分と続いてしまい、どこに集中すればいいかわからなくなります。
短時間に区切って繰り返し練習できる天気予報は、初心者にとって効率の良い教材です。
また表現や単語も多すぎないので、聞き取りの学習に集中して取り組めます。
裏を返せば天気予報で語彙力が多くつくわけではありませんが、天気に関する語彙力がしっかりと身につけば、韓国の人と話す話題ができます。
3. 発音がきれい
天気予報は多くの人に情報をわかりやすく伝える場なので、話し手もしっかりと聞き取りやすい発音で話してくれます。
この点も、ドラマやバラエティー番組などよりも聞き取りやすく、初級者の練習には適しています。
また学び始めの時に、はっきりとした発音を聞き続けることは、自分が実際に韓国語を話せるようになった時にも大きな影響をもたらします。
なぜなら、学び始めの時に聞いていた発音や言葉遣いは、意識していなくても自分の話し方の癖になりがちだからです。
私は韓国の語学堂で韓国語を学んだのですが、先生がほぼ女性だったため、妻には話し方が優しくて女性っぽいとよく言われました。

口喧嘩になったときなど、「女みたいな口調で気持ちわるい!」なんてよく言われました
3. 毎日更新される教材
天気予報は毎日、いや数時間おきに更新されます。
つまり、教材が尽きることがありません。
同じ音声を繰り返すことも大切ですが、人は同じものを何度も聞き続けると飽きてしまいます。
その点、天気予報はテーマは同じでも「今日は雨」「明日は雪」と少しずつ内容が変わるため、飽きずに継続できるのです。



変わる内容が「少しずつ」というのが、初級者の教材として大きなポイントになります
4. 映像やテキストと一緒に学べる
韓国のニュースサイトやアプリで配信されている天気予報は、映像と文字起こし(スクリプト)がセットになっていることが多いです。
・映像 → 視覚的に話者の表情や、口の動きを確認できる
・テキスト → 聞き取れなかった部分を文字で確認できる
「読む」「聞く」「見る」を同時に使うことで、理解度が一気に高まります。



適度な難しさで、読んで、聞いて、口に出してみる、全ての学習ができる教材です
韓国の天気予報はどこで聞けるの?
韓国の天気予報を聞く事ができる媒体は、インターネットを使えば沢山あります。
私は、映像付きの韓国のニュースサイトの天気予報をおすすめします。
韓国のNAVERで検索してみてください。
以下の画面が出たら


뉴스をクリック


날씨をクリック


天気予報の動画が出てくるのでお好きな時間帯のものをクリック




動画の下には文字おこしされたテキストがあります。
スマホのNAVERアプリの場合は「날씨」のトピックが無いので、「생활」から入って出てきた一覧から「날씨」の映像を探してください。
再生後「기사보기」をタップすれば、テキストが表示されます。
天気予報を使ったリスニング練習の手順
最初にお話ししたように、天気予報もただ聞き流すだけでは、リスニング力は思ったほど伸びません。
大切なのは 順序立てて段階的に練習すること です。
ここでは、初心者の方でも取り組みやすい学習ステップを紹介します。
ステップ1:まずはテキストを読んで理解する
いきなり音声から入るのではなく、まずはテキストを読みましょう。
1.単語を調べて意味を確認する
・비(雨)、눈(雪)、기온(気温)、영하(氷点下)など
天気に関する語彙は毎日のように繰り返し出てくるので、覚えやすいです
2.文法を確認する
・「-겠습니다(〜でしょう)」のような予報表現
「-겠-」は未来推量の意味があり、天気予報では頻出です
文章を読んで理解できないものは、当然音声でも理解できません。
ですから、最初に文字で意味を押さえることが重要です。
ステップ2:音声を聞いて全体の流れをつかむ
テキストで意味を確認したら、次はいよいよ音声を聞いてみましょう。
ここで大切なのは「全部聞き取ろう」としないことです。
・今日は雨が降るのか?
・明日の気温はどうなるのか?
・北と南で天気が違うのか?
こうした大まかな流れをつかむことを意識しましょう。
天気予報は構成がシンプルなので、慣れると数回で「概要」は理解できるようになります。
ステップ3:細かい音を確認する
全体が理解できたら、今度は細かい音に注意して聞きます。
連音化
まずは「パッチム+母音=くっつく」と覚えると、単語のつづりと連音の音の変化が定着します。
・낮에(昼に) → [나제]
「낮+에」天気予報の「낮에는 맑고…(昼は晴れて…)」で頻出。
・꽃이 (花が)→ [꼬치]
「꽃+이」花粉予報などでも“꽃이 폈습니다”のように出ます。
・옷을 (服を)→ [오슬]
「옷+을」“옷을 따뜻하게 입으세요.”(暖かい服を着てください)など。
・맑아요 (晴れます)→ [말가요]
「맑+아」“ㄺ”が[ㄹ+ㄱ]となって前に出ます。語幹+母音語尾は連音の定番。
母音の聞き分け
「오(o)」と「어(eo)」
・오늘은 맑겠습니다.
(今日は晴れるでしょう)
→ 「오늘(今日)」の 오(o) は口を丸くして「オ」と発音します。
・어제보다 기온이 낮겠습니다.
( 昨日より気温が低いでしょう)
→ 「어제(昨日)」の 어(eo) は口を横に開き、少し喉の奥で出す「オ」に近い音です。
ポイント
日本語ではどちらも「オ」と書きたくなりますが、「오늘(o)」と「어제(eo)」を聞き分けられるようになると、一気に理解がスムーズになります。
「우(u)」と「으(eu)」
・오늘 오후에 비가 오겠습니다.
(今日の午後に雨が降るでしょう)
→ 「오후(午後)」の 우(u) は日本語の「ウ」とほぼ同じ。口をすぼめて発音します。
・하늘에 구름이 많겠습니다.
( 空に雲が多いでしょう)
→구름(雲) の 으(eu) は、日本語にない音で「クルム」と日本語風に言うと違和感があります。
口を横に開いて「ウ」と「イ」の間の音を意識しましょう。
ポイント
例えば「눈(雪)」と「는(〜は)」の違いが聞き取れると、
「오제는 눈이 왔습니다(昨日は雪が降りました)」を正しく理解できます。
「여(yeo)」と 「요(yo)」
・오늘은 전국에 구름이 많고, 일부 지역에서는 비가 내리겠습니다.
(今日は全国的に雲が多く、一部の地域では雨が降るでしょう)
→지역( 地域) の「여」は日本語の「ヨ」と違う音。口を横に開きながら「イ+オ」に近い音を出すのがコツです。
・요즘 날씨가 변덕스러워서 아침에는 맑다가 오후에는 소나기가 내리겠습니다.
(最近の天気は変わりやすく、朝は晴れていても午後にはにわか雨が降るでしょう)
→요(yo) は日本語の「ヨ」に近いが、口を丸めてしっかり「yo」と出す
ポイント
여(yeo) は「イ」と「オ」が混ざった日本語にない音。
요(yo) は日本語の「ヨ」に近い音。
ここで 「聞こえなかった部分をテキストで確認 → もう一度聞く」 を繰り返しましょう。
ステップ4:音読とシャドーイング
理解できたら、自分でも声に出して練習します。
1.音読:テキストを見ながら正しい発音で読む
2.リピーティング:短く区切って音声を聞き、同じように真似して発音する
3.シャドーイング:音声を聞きながら、ほぼ同時に声に出してついていく
この3つを組み合わせることで、「聞く」「話す」「読む」が一度に練習できます。
特にシャドーイングはリスニング力だけでなくスピーキング力の向上にも効果的です。
ステップ5:繰り返し、毎日続ける
リスニング力は「短期間で一気に伸びる」ものではありません。
しかし、毎日1〜2分の天気予報を使って練習すれば、数週間後には確実に耳が慣れてきます。
「今日はどんな天気かな?」とニュースサイトを開くのを日課にしてしまえば、自然と勉強が習慣化します。
スピードについていけない時は、再生速度をおとしてもいいので、続けることが大切です。
天気予報でリスニングを伸ばすコツ
ここまでの内容をまとめると、天気予報を使った聞き取り練習のコツは以下の通りです。
・知らない単語は必ず調べて覚える
・瞬発的に単語の意味を思い出せるように訓練する
・音の変化のルールを理解して実際の音声と照らし合わせる
・再生速度を工夫して耳を慣らす
このサイクルを繰り返すことで、少しずつ「聞こえる音」が増えてきます。
まとめ
聞き取り練習はただやみくもに音声を聞くのではなく
・話されている内容を事前に読んでおく
・わからない単語を事前にチェックしておく
この2点を特に意識して、天気予報の聞き取りに挑戦してみてください。
聞いて終わりではなく音読、シャドーイングまでできれば一層効果はあります。
あまり無理をすると学習自体が続かなくなるので、無理をせず自分のペースで学習する事を続けてください。
少しずつでも続けることが、韓国語をマスターする唯一の方法です。
コメント