「単語を覚えるのが苦手」
「単語帳とにらめっこしていると、すぐ飽きてしまう」
「単語を覚えようとしても、次の日には忘れてしまっている」
単語学習に対してこんな感想を持つ人は多いのではないでしょうか。
語学学習において単語力が大切なのは誰もが分かっていることですが、実際には単語の暗記が原因で挫折してしまう人も少なくありません。
そもそも、単語学習=暗記作業=つまらないというイメージが強いと思います。
英語の学習を思い出してみても、単語帳をひたすら暗記していた時期は、苦痛だったという方が多いはずです。
そこで今回は、韓国語学習の初級〜中級レベルにいる方に向けて、「単語帳を使わないで楽しく覚える方法」をご紹介します。
大切なのは、単語を「丸暗記」しようとするのではなく、文法や会話練習と結びつけながら、自然に覚えていくことです。
単語帳は使わない
単語帳はいらない?
はい、最初のうちは必要ありません。
「単語学習=単語帳」と思っている方も多いかもしれません。確かに、学校での英語の勉強で単語帳を活用してきた方にとっては、それが常識のように感じられるでしょう。
しかし、韓国語の学習を始めたばかりの初級段階では、単語帳に手を出さなくても大丈夫です。
理由は大きく分けて3つあります。
① 文法や文字の学習に集中すべき時期だから
韓国語学習の最初の壁は、文字=ハングルを覚えることです。
さらに、基礎文法を学ぶだけでもかなりのエネルギーを使います。
そこに「単語暗記」を加えると、どうしても負担が大きくなってしまいます。
学習の序盤は、ハングルの読み書きと基本的な文法に集中することが何よりも大切です。
最初から単語帳に取り組む必要はありません。
② 教材に必要な単語がすでに登場しているから
市販のテキストやオンライン教材には、すでにそのレベルに合った必要な単語が盛り込まれています。
たとえば、自己紹介を学ぶ課では「名前・国籍・職業」に関連する単語が登場しますし、買い物の課では「物の名前や値段に関する単語」が出てきます。
つまり、その時に必要な単語はテキストの中で自然に学べるのです。
新しい単語をどんどん外から取り入れる必要はなく、テキストに出てくる単語を丁寧に覚えるだけで十分です。

初級の段階では文法を学習しながら、できてきた単語をしっかりと覚える事に集中しましょう
③ 単語帳は単調でつまらなくなりやすいから
単語帳を開いて、「앞=前、뒤=後ろ、위=上、아래=下」とひたすら暗記する…。
このような学習は効率的に見えて、実際には退屈でモチベーションを奪います。
特に韓国語初心者にとっては、「ハングルを読むのもまだ慣れていない」状態でいきなり単語帳をやろうとしても、頭に入ってこないことが多いのです。
ですから、最初のうちは単語帳を封印してしまいましょう。
「えっ、単語帳を使わないでどうやって単語を覚えるの?」と思うかもしれませんが、安心してください。
単語は単語帳ではなく、フレーズの中で自然に覚える方がずっと効率的なのです。
単語だけで覚えない!フレーズで覚えるのがコツ
単語学習でやってしまいがちな失敗の一つは、単語を「辞書形」だけで覚えてしまうことです。
例えば、名詞ならそのまま、動詞なら「-다」で終わる形(가다=行く、먹다=食べるなど)を、ノートにひたすら書き並べたり、声に出して何度も唱えたりする…。
こうした勉強方法は「暗記した感」はありますが、実際の会話になると「知っているはずなのに聞き取れない」「自分で使えない」という状況に陥りやすいのです。
なぜ辞書形だけでは不十分なのか?
理由はシンプルです。韓国語には「連音化」や「パッチム」による音の変化があるからです。
たとえば「밤(夜)」という単語を単体で「パム」と覚えたとします。
ところが、実際の会話では
・어제 밤에는 너무 추웠어요.
(昨日の夜はとても寒かったです)
このように使われることが多いですよね。
ここで「밤에는」が連音して「바메는」という音で発音されます。
つまり、単語を辞書形だけで覚えていると「聞き取れない」という問題が起きるのです。
これは動詞や形容詞でも同じです。
「가다(行く)」をそのまま覚えていても、実際には「가요(行きます)」「갔어요(行きました)」「갈 거예요(行くつもりです)」など、文脈によってさまざまに変化します。
フレーズで覚えると効果的
だからこそ、単語は「フレーズ」や「活用した形」と一緒に覚えるのが効果的です。
・「학교에 가다(学校に行く)」
・「친구를 만나요(友達に会います)」
・「밥을 먹었요(ご飯を食べました)」
このように、文の一部として覚えると、聞き取りにも強くなりますし、すぐに自分の会話に使うことができます。
特に初級のうちは、単語単体ではなく 「テキストに出てきた例文ごと覚える」のがオススメです。
その方が、「あ、これはこの場面で使えるんだ!」と記憶に残りやすくなります。
自分の単語帳をつくる
単語張は必要ないといっておきながら、単語帳をつくるとはどういう事?
と思われるかもしれませんが、これは自分が学習していて出会った単語をノートに書き留めておくという事です。
どうやってつくるのか?
自分の単語帳とは、市販のように最初から用意されたものを覚えるのではなく、自分が学習の中で出会った単語をまとめるノートのことです。
市販の単語帳は与えられたものを覚える受け身ものですが、自分の単語帳は自分が学習しながら出会ったものを書き留めてつくる単語帳なので能動的になり、矢印が逆になります。
ここでいう出会った単語とは、
・教科書に出てきた単語
・ドラマや映画で気になって調べた単語
・K-POPの歌詞で調べた単語
・自分で言いたくて辞書を引いた単語
すべて含まれます。
こうして「出会った時」に記録しておくと、ただの暗記ではなく「自分にとって必要だった単語」として印象に残ります。
記録する時のポイント
単語だけでなく、その時に出会ったフレーズごと書き留めることがポイントです。
例えば、
・「걱정하다(心配する)」だけでなく → 「너무 걱정하지 마세요.(そんなに心配しないでください)」
・「기쁘다(嬉しい)」だけでなく → 「선물을 받아서 기뻐요.(プレゼントをもらって嬉しいです)」
このよう自分が出会ったフレーズで覚えると、ただ与えられた単語だけを覚えようとするのでは、頭に残る印象がちがいます。
さらに自分でルールを決めてある程度カラフルにしておくと、一色だけで記入した時よりも、あとで見返したときに印象に残りやすくなります。
このルールとは、堅苦しく決める必要はありません。
順番に色を変えたり、単語は赤、例文は青のように非常に簡単なもので十分です。
ここに時間をかける必要はありませんが、あまりにも汚く残していると、あとで見返したくなくなってしまうので、ある程度は丁寧に書き留めることをおすすめします。
続けることで効果が出る
この方法を続けていると、ノートに何度も登場する単語が出てきます。
それは「自分がなかなか覚えられない単語」であり、自分の弱点を教えてくれるリストになります。
検定試験を受けるときの前などにそのノートを見返せば、効率的に弱点補強ができ、まさに「自分専用の単語帳」として役立つのです。
しかも、積み重なっていくそのノートは、自分の学習の歴史そのものになります。
冊数が増えていくほど「ここまで勉強してきたんだ!」という自信にもつながります。
実際に私は、TOPIK6級を受験しようと決めた時からこの方法で自分の単語帳を作り始めました。
15年以上前の当時は、韓国語の単語帳や検定の対策テキストもほぼなかったので、過去問題を中心に勉強しましたが、単語の勉強はこの自分の出会った単語をまとめることしかしませんでした。
そして、試験直前にはこの自分の単語帳を開いて、何度もでてきている単語を中心に復習をし、一発で合格することができました。



最初の頃は知らない単語ばかりなので書き留める単語が多すぎて
時間がかかりますが、その分の効果はあると自信をもってお勧めします
単語学習とモチベーションの関係
語学学習での難関は、「単語の暗記」よりも モチベーションの維持 ではないかと思います。
どんなにやる気を持ってスタートしても、単語帳を前にして黙々と暗記を続けていると、退屈で心が折れてしまうことが多いですよね。
「覚えなきゃ…」という義務感で机に向かうより、「知りたい!」という好奇心から単語を覚える方がずっと記憶に残りやすいです。
たとえば、
・好きな韓国ドラマを観ていて気になったフレーズを調べてみる。
・推しのアイドルのインタビューを聞いて、聞き取れなかった単語を書き出してみる。
こうした「自分の興味」と結びついた学習は、暗記作業ではなく 発見体験 になります。
しかも、この方法は「また勉強したい!」という気持ちを自然に生み出してくれるのです。
このように、単語学習を「退屈な作業」から「楽しい活動」に変えることが、モチベーション維持の最大のポイントです。
では、単語帳はいつ使うべき?
ここまで「初級のうちは単語帳はいらない」と繰り返してきました。
しかし、全く不要かというとそうではありません。
実際、中級レベル以上になったとき、単語帳の出番がやってきます。
文法の基礎が身について、日常会話程度なら理解できるようになると、次に必要なのは 「知っている単語の量」 です。
この段階では、語彙力が理解力や表現力を大きく左右します。
「この単語を知っていればもっとスムーズに聞き取れたのに…」
「ここで別の表現ができたらもっと自然に話せたのに…」
そんな壁にぶつかるのが中級です。
そのとき初めて、体系的に単語を増やす必要が出てきます。
ここで単語帳を導入すれば、強力な武器になるのです。
つまり、
・初級: フレーズごと覚える、自分専用の単語帳を作る
・中級以降: 単語帳で体系的に語彙力を増強する
という流れで使い分けるのが最も効率的な方法です。
まとめ
語学学習において「単語力」は最終的にとても大切です。
しかし、初級段階からいきなり単語帳に頼る必要はありません。
初級のうちは、
・文法を学びながら自然に出会う単語を覚える
・単語単体ではなく、フレーズで覚える
・自分の学習に基づいた「オリジナル単語帳」をつくる
これで十分です。
そして何より、楽しみながら学ぶことが最優先です。
ドラマや音楽、推し活など、自分の好きなものと組み合わせて覚えれば、暗記作業は「楽しい発見」に変わります。
その積み重ねが、中級・上級へ進むための確かな土台となります。
そして中級以上になったら、単語帳を使ってさらに語彙を増やすステージに進めば良いのです。
最後に
韓国語学習を続けるコツは、「頑張る」より「楽しむ」ことです。
単語を「覚える対象」としてではなく、「出会って理解するもの」として捉えましょう。
最初は小さな積み重ねでも、自分の単語帳が少しずつ増えていけば、それが大きな財産となります。
そして、その財産が自分の韓国語力を確実に引き上げてくれるはずです。
繰り返しますが、初級の間は単語帳を使った単純作業の暗記はする必要はありません。
理屈をつけて覚える等、単純作業を少なくする事が楽しく学習を続けるコツです。
そして、常に声に出して学習する事を忘れないでください。
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