韓国語を学んでいて、もっとも伸び悩みを感じるのは中級者だと思います。
理由として、韓国語は日本人にとって非常に学びやすい言語なので、他の言語の学習にくらべても初級から中級くらいまでは、比較的に速い速度で駆け上がる事ができてしまうからです。
ところが、中級者になると今までのように、実感できる成長速度がなくなってきます。
その結果、何年も中級から抜け出せなくことが起きてしまいます。
これは、韓国語学習者の多くの人が経験する壁だと思います。
実は、私も長い時間を中級で過ごしました。
どうして中級になると実感できる成長速度が少なくなって、伸び悩んでしまうかというと、中級までに学ぶ文法でコミュニケーションで必要なことの大体は表現できてしまうので、現状で満足してしまいがちになってしまうんですよね。
具体例をあげると
・旅行で韓国に行っても、自分だけで大体のことは解決できる
・ドラマや映画を字幕なしでも、大体のことは理解できる
・韓国人の友人とも、韓国語だけで会話を成立させることができる
中級者になれば、この位のことができるようになっていると思います。
この「大体のこと」が、できてしまうのが落とし穴になっています。
ある程度の事ができてしまっているので、そこまでの不便も感じないので中級から抜け出せないのです。
しかし、よく考えてみてください。
・本当に自分のやりたいことができてきますか?
・本当にドラマの核となる内容が理解できていますか?
・その会話は相手が譲歩してくれていませんか?
「ある程度のこと」ができてしまうのが、中級の落とし穴です。
そこに妥協がうまれてしまうと、その中級というぬるま湯からでることは難しくなってしまいます。
TOPIKでいえば4級を取得した頃でしょう。
色々なことが韓国語でできるようになって、とても楽しい時期でもあります。
現状で満足するのか、さらに上手になりたいのかの分かれ道になる期間が、この中級の壁の時期になるのです。
とはいっても、
・現状で満足しているわけじゃないけど、なかなか抜け出せない!
という人もいると思います。
その気持ちがあれば大丈夫です。
この時期は上級に上がる為の準備期間と考えてください。
上級になれば知識を教えてくれる教材はグッと減り、自分で学び方を探していく時期に入ります。
中級はその準備期間で、自分に足りない事を自分で探せるようになることが必要です。
では、その準備期間の今、すべきことは何でしょうか?
それは今までの学習を整理して、自分の理解が曖昧になっている部分を知ることです。
自分が理解できていないことを知ること、これが中級者の最も大切なことです。
それによって、自分に何が必要なのかを知ることができます。
その結果、
・なぜある程度しか聞き取れないのか
・なぜ言いたい事が伝わらないのか
この様な、自分の弱点を知ることにつながります。
自分の弱点を知り、改善をすることをくりかえしていると、また自分の成長を実感できるようになってきます。
そうすれば、初級の頃の学習意もきっとまたでてくるはずです。
この記事では、どのように学習の整理をしていけばいいのかを、解説していきます。
初級から中級までの過程の総復習をする
中級者くらいになると、自分が苦手な文法はなんとなくわかっていると思います。
ただ、それだけでは足りません。
今までメインに使ってきた教材を一度、全て復習してください。
韓国語の学習を始めてから、メインで今までやってきた教材全てです。
何度も繰りかえしてきた教材ですので、そんなに多くの時間はかからないはずです。
一通り終えれば、なんとなく理解していた部分や、気になっていたこと、忘れていたことなどが確認できると思います。
また、苦手だと思っていたことが、実は理解できていることに気づいたり、間違って理解して使っていたことなどもでてきるはずです。
このように、自分のわからない事を知るために、中級の段階で学習の総復習はともても大切な役割を果たしてくれます。
次の段階として、その曖昧だった部分を自分でノートにまとめてみましょう。
自分で自分に教えるようにまとめてみてください。
人に教えることが一番の知識の定着になります。
苦手だと思っていた文法も、それ以外の部分を復習する事で理解が深まり、苦手で無くなる事もあります。
そしてこの時点でも、理解が難しかった部分を形に残すことで、この先の学習でつまずいた時に、簡単に戻って来ることができます。
自分の苦手なところがわかたら、ここで自分に合った中級用の教材をやりきりましょう。
総復習しているので、自分に必要なテキストを選ぶ事もできるようになっているはずです。
私が長い間、中級をさまよっていた時に使用したテキストは、「前田式韓国語中級文法トレーニング」と「しっかり身につく中級韓国語トレ-ニングブック」の2冊です。
「前田式韓国語中級文法トレーニング」
このテキストは中級でも初級よりに位置しますが、全ての中級者におすすめできます。
また、初級から中級に上がる為に必要なことがつまっています。
同じ中級でも、個人のレベルよっては簡単に感じる人もいるかもしれませんが、多くの文法がわかりやすく整理してあり、完璧にこなそうとすると十分にやりごたえがあります。
初級を終えてからの勉強方法などのアドバイスや、色々なコラムもあり、少し力を抜いて取り組むことができる内容ですが、著者の色が強くでているため、合わない人もいるかもしれません。
進めていると、ことわざや四字熟語などもでてきますが、こういったことを知っていると、韓国人の考えかたや価値観などを知ることができ、ドラマを見る時、韓国人と会話をする時などにも役立つ知識となります。
また、著者の前田真彦先生は、まだ中級や上級のテキストが少なかった頃からテキストを書かれてた先生で、今も多くのテキストを出されている先生ですので、なじみのある人も多いかと思います。
私がこの本に出合ったのは、この本の出版が遅かったこともあり、中級を長いことさまよっていた後半のことでした。
「韓国語ジャーナル」を毎月愛読していた私には、そこで連載をしていた前田先生の新しい著書ということで購入しましたが、わかっていたようで理解が足りていなかったことの補完や、勉強方法などを知ることができ、自分の今までの学習の総復習になった、とてもためになる1冊でした。
「しっかり身につく中級韓国語トレ-ニングブック」

一方こちらは、中級のなかでもやや上級よりになります。
イメージとしては、文法書という感じで、初級を終えたばかりの人には、最初は少し難しいと感じるかもしれません。
しかし、初級を終えて、これからさらに上を目指していこうとすれば、このような形のテキストにも慣れていく必要があります。
ボリュームがあり、やり切るのは少し大変かもしれませんが、やりきれば確実に力はつきますし、各章で単語もたくさんでてくるので、単語力アップにもなります。
また、練習問題も多く、繰り返し問題を解く事で文法の理解が深める助けに大いになるはずです。
私は、この練習問題にでてくる文章の音声を使って、パダスギの練習を行いましたが、勉強した単語や文法の中で適度な長さの文章なので、難しすぎずることなく長くつづけることができ、とても力がついたと思います。
また、各章の文法説明がよくまとまっているので、レベルが上がっても、わからないことがあれば、この本に戻って復習していたので、長い間そばに置いていていた1冊でした。
私が、最も繰り返し学習したテキストはこの1冊だと思います。
単語力、表現力を増やす
中級以降になると、必要になってくる語彙が一気に増えてきます。
初級の頃の単語は、本当に日常生活に欠かせないような単語ばかりで、覚えやすいものが多いです。
それが中級以降になると、なかなか頭に入ってこない単語が多くなってきます。
しかしある程度のレベルになると、語学は単語力がものをいいます。
では韓国語の単語力を上げる為に、何をしたらいいでしょうか?
私はニュースを読むことをおすすめします。
韓国のニュースサイトに入れば、たくさんの記事に触れることができます。

小説などの読み物は、表現や単語が独特なものが多いので、難易度はニュースより高いです
韓国のニュースサイト一覧
サイト名 | 特徴 |
조선일보(朝鮮日報) | 韓国最大級の保守系新聞。政治・社会・文化に強い。 |
중앙일보(中央日報) | 中道~保守系。日本語版もあり、読み比べも可能。 |
동아일보(東亜日報) | 伝統ある新聞。読みやすい構成。 |
네이버 뉴스(Naver) | 韓国最大のポータルサイト。複数メディアの記事を横断的に読める。 |
다음 뉴스(Daum) | NAVERと並ぶポータル。コメント欄も活発で世論がわかる。 |
日報の3紙は新聞のサイト、NaverとDaumはポータルサイトです。
私はよく朝鮮日報を読んでいましたが、今はNaverのようなポータルサイトのアプリなどを入れておいた方が、手軽で読みやすいかと思います。
各サイトに入ったら、まずは見出しを見て、少しでも興味がわいたものを読んでください。
全て読まなくてもよいし、話題が難しすぎたら別の記事に移っても構いません。
興味の無い記事を読むのは苦痛になりますし、無理をして読んでいると韓国語を見るのも嫌にになってしまうので、少しでも興味がわいたものにチャレンジし、難しすぎたら別の記事に移ってください。
ひとつの記事に執着しなくても、他にも読むものはたくさんあります。
記事内容が少し難しすぎる時は、社説やコラムのほうが読みやすいので、最初はそちらを読むことをおすすめします。
また、ニュースは漢字語が多いので、難しい内容でも比較的頭に入ってきやすいのが長所です。
そして、たくさんの量のニュースを読んでいると、漢字語の単語を推測することができるようになり、単語を芋づる式に覚えることができるようになります。



これは、日本人が韓国語を覚える時の有利な点のひとつです
また、ニュースは少し硬い表現が多いかもしれませんが、これから上級を目指すにあたっては、砕けた表現を学ぶよりも、フォーマルな表現を学ぶ方が好ましいと私は思います。
例えばですが、日本語を学んでいる外国の方で、若者言葉やテレビなどでよく使われる砕けた表現で話す人と、
少し硬くても綺麗な表現で話す人がいたらどちらがあなたは印象がいいでしょうか?
少し硬くても、綺麗な表現を話す人の方が、よく勉強されているなという印象を持つことが多いと思います。
若者言葉が、悪いというわけではありません。
むしろそちらの方が、好まれる場面もあるとも思います。
しかし、まずフォーマルな言葉使いに慣れていないと、必要な時に出てこなくなってしまい、せっかく韓国語を学んでるのに、いざという時に綺麗な言葉がでてこなくて、恥ずかしい思いをすることになるかもしれません。
そんな事態を裂けるためににも、私はまずは、「フォーマルな言葉使い」を覚えてからラフな言葉も覚える道筋の方が、言語を学習する上では大切ではないかなと思います。
「받아쓰기(パダスギ)」(ディクレーション)をする
聞き取りの力を伸ばすのに、必要な学習方法が「받아쓰기(パダスギ)」です。
英語学習でいうところの、ディクテーションのことですね。
聞いた事を書き留めていく学習方法ですが、「받아쓰기」をおこなうことで聞き取りだけでなく、発音など総合的な学習もおこなえる、とても優れた学習法です。
韓国語は発音の変化などが多く存在する言語なので、聞いた事をそのまま書き留めるという作業は思っているよりずっと難しいです。
最初は私もやっていて、嫌になることも多かったです。
しかし、さまよっていた中級の時に、パダスギを学習の中に取り入れ、大変だった分、大きな成果も感じることができました。
この時に使う音声教材は、今までに使ってきた教材の音声で構いません。
最初は初級の簡単なものでも、思っている以上にできなくて、ビックリして、ショックを受けると思います。
でも、大丈夫です。
この「받아쓰기(パダスギ)」は、韓国の小学生も学校でやっていることです。
韓国語を音で聞いて書くという作業は、ネイティブにとっても難しい事なのです。
実践の際のポイントは3つ。
・文章は短いもので構いません
・何度も聞いて書き出してみましょう
・聞いたあとは音読もしましょう
答え合わせをする事で、自分の理解できていないこと、聞き取れない部分がわかってきます。
おそらく、最初は間違えだらけだと思います。
それでも続けることで、連音化に対する復習もでき、それを何度も繰り返し行うのでものすごく身につきます。
連音化の理解が深まることによって、発音する時も自信がを持つことができるようになり、なによりも、発音がよくなります。
そして、曖昧だった「韓国語の綴り(맞춤법)」に対しても理解が深まるはずです。
この「받아쓰기(パダスギ)」を実践することで、韓国語の実力がが総合的に飛躍する事ができます。
しかし集中が必要な学習なので、「받아쓰기(パダスギ)」を行うと非常に疲れます。
この学習は、長い時間をかけておこなうのではなく、集中力を保てる程度の短い時間でおこなうことをおすすめします。


韓国語を正確な日本語に変換する
初級の頃は韓国語を日本語に変換しない、と習う事が多いと思います。
初級の頃に、ひとつひとつを頭の中で全て日本語に訳していたら、それは韓国語のもつニュアンスが理解ができなくなってしまうので、韓国語を韓国語のままで理解するトレーニングが必要です。
韓国語を、韓国語のままイメージでとらえられるようになる事が大切で、それができるようになれば初級を卒業できる段階だと思います。
しかし今度は中級から上級に上がるに伴い、韓国語でとらえていたイメージを、日本語へ正確に変換してみるというトレーニングをしてみてください。
韓国語を、きちんと日本語で言い換える事ができるということは、その韓国語のフレーズをしっかりと理解していないと難しいものです。
日本語ではなんと言えばいいんだろう、といった表現も沢山あると思います。
文法の理解も必要です。
レベルが上がれば、韓国語特有の表現なども沢山でてきます。
・韓国語 を韓国語のまま理解する
・韓国語 を 日本語に変換する
・日本語 を韓国語に変換する
この理解と変換ができるようになると、語彙や表現が増えてきても、それを処理できる力が高まります。
まとめ
韓国語学習を始めた時に、ハングルを覚えるのに苦労したように、中級の壁は誰もが通る道です。
入門の頃と違って、ある程度のことができるようになっていて、韓国語を使うのが楽しい状態なので、この壁を乗り越えるのに時間がかかってしまいがちです。
しかし、それを復習の機会の考え、新しい目標を持ち、もう一度学習を始めてみてください。
韓国語が少しできる楽しさの中で、新しい勉強を始めると難しく感じて、韓国語学習が楽しく感じなくなる時があるかもしれません。
しかし、壁を乗り越えた時には、「ハングルが読めるようになった」、「字幕を見なくてもドラマを見て楽しめるようになった」頃のような、韓国語に触れる楽しさが、必ずまたよみがえってきます。
学習をやめなければ、必ず結果はついてきます。
私は5年間、中級をさまよいました。
疲れた時は休憩しながら、楽しく学習を続けましょう。
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