3言語で育てるわが家の言語ルールと実践法

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私たち家族は、日本語・韓国語・英語の3言語に囲まれた環境で日々を過ごしています。

私は日本人、妻は韓国人と夫婦ともに異なる言語的・文化的背景を持ち、それぞれの言語と文化が生活の中に自然に溶け込んでいます。

子どもにはその多様なルーツを尊重しつつ、言葉を通じて世界を広げてほしいという思いがあります。

しかし、特に海外での子育てにおいては、多言語をバランスよく育てることには苦労も多く、日々試行錯誤の連続です。

本記事では、我が家が実践している3言語育児のルールや、実際に感じた課題とその対処法について、親の視点から具体的にご紹介します。

これから多言語育児を始める方や、海外での言語育児に悩む方の参考になれば幸いです。


目次

わが家の言語環境:3言語が共存する日常

夫婦の言語背景

私は日本人で、妻は韓国人です。

妻は結婚生活も含め日本に6年間住んでいた経験があり、日本語能力試験(JLPT)はN1を取得、日本語はビジネスレベルで問題なく使用できます。

私も韓国にワーホリ経験があり、息子が産まれて1歳になるまでは1年ほど韓国で生活していました。

また韓国語能力試験(TOPIK)6級を取得、現在はニュージーランドにある韓国の会社でたった一人の日本人スタッフとして働いています。

このような背景から、夫婦の会話は長い間、日本語・韓国語の両方が入り混じっている状態です。

ろは

日本語より韓国語の方が表現がしっくりくること(その逆もあり)があるので、会話の中でお互いの言語がミックスされています

一方、私たち夫婦ともにそれでよく移住を決意したなと思われるほど英語は非常に苦手で、ニュージーランドでの生活でも英語でのやり取りに苦労してきました。

子どもの言語環境

子どもは韓国で生まれ、1歳でニュージーランドに移住しました。

現在は家庭内では日本語と韓国語を中心に話し、学校や地域社会では英語に触れています。

そのため、自然と3言語に囲まれた生活が形成されています。

ろは

2歳になる前にロックダウンが起きてしまったので、英語に触れる機会は最初の頃は少なかったかもしれません


ルール1:言語ごとの担当者を明確にする

OPOL方式の導入

私たちは、親それぞれが異なる言語を担当する「ワン・ペアレント・ワン・ランゲージ(One Parent, One Language:略してOPOL)」という方法を取り入れています。

これは、父親である私が一貫して日本語を、母親である妻が一貫して韓国語を使って子どもと接するというルールです。

このようにすることで、子どもが自然と「お父さんとは日本語」「お母さんとは韓国語」といった言語の使い分けを身につけることができます。

OPOLは、多言語育児における代表的なアプローチの一つで、1960年代以降、多文化・多言語家庭において注目されてきました。

この方式は、子どもが混乱することなく各言語を識別しやすくなる利点があり、また特定の親との結びつきと特定の言語がリンクすることで、言語習得における安定性が高まるとされています。

一方で、親が一貫して自分の言語を使用し続けることが求められるため、継続的な意識と努力が必要とされます。

英語の取り扱い

英語については、家庭内では積極的には使用していません。

私たち夫婦があまり英語が得意ではないこともありますが、英語に関してはニュージーランドの学校や周囲の社会環境を通じて、日常的に触れる機会があるため、家庭では母語の日本語と韓国語をしっかりと維持することを優先しています。


ルール2:家庭内言語の「質」と「量」の確保

日本語の働きかけ

日本語については、毎日の読み聞かせを習慣にしています。

ジャンルは絵本や昔話から現代の児童書、図鑑まで幅広く、特に子どもが気に入った絵本は繰り返し読んでおり、一時は暗唱できるほどになりました。

これによって、語彙力や表現力を養うだけでなく、日本語に対する愛着も育てることができます。

本を開いて読み聞かせをすることで、自然に漢字にも興味をもちはじめ、このブログを書いている息子が7歳からは漢字の練習も少しずつはじめました。

韓国語への取り組み

韓国語は、妻が中心となって日本語と同様にさまざまなジャンルの本に触れさせています。

やはりたくさんのコンテンツを目に触れさせることで、ハングル(韓国語の文字)にも興味をもち、早い段階からハングルの練習はしています。

しかし、小さな子どもにとってハングルはひらがなに比べて覚えることが多いので、7歳の段階でも苦労はしています。

また、家庭内ではやはり母親といる時間が多く、妻も意識的に語りかけの時間を大切にしているので、自然と出てくる会話の言葉は韓国語が多くなっています。

英語は自然習得に任せる

英語に関しては、家庭内で積極的に教えることはしていません。

もちろん、学校の課題であったり、息子が質問してくることには手伝ったり答えたりはしていますが、日本語や韓国語のような働きかけはしていません。

しかし、学校や地域の子どもたちとの交流を通じて、子どもは自然に英語を身につけていっています。

外の世界は全てが英語なので、最初は苦労していましたが、7歳になると友達とも英語でしっかりとコミュニケーションをとって、学校生活も楽しんでいます。

スペリングの間違えなどは日常茶飯事ですが、文章を書くことも積極的におこない、英語も自分に必要な言語という認識をしっかりともっています。

そのため、家ではスペルの間違えを正してあげたり、英語の歌や絵本を一緒に楽しむことなど、補助的に支える程度にとどめています。

ろは

とはいえ、最初は英語がほとんど分からない状態で学校に通い始めたので、がんばって通ってくれた息子を尊敬しています


ルール3:子どもの「使いたい」気持ちを尊重する

強制ではなく動機づけを重視

多言語育児においては、「話したくなる」「理解したい」という子どもの内発的な動機を尊重することが重要です。

そのため我が家では、日本語・韓国語・英語のすべてのメディアに日常的にアクセスできるようにしています。

コンテンツの選択肢を広げる

家に本は、日本語、韓国語、英語のそれぞれの言語のものをおいています。

小さい時から、3か国語の本を開いていたので文字に関心を持つようになり「ハングルの書き方を教えて」「漢字を覚えたい」など、自分から学習意欲を伝えてくるようになりました。

読めなくても、1歳のときから文字を見つづけてきていたので、自分で文字を書くことに興味をもち、英語も音から拾ってアルファベットで書き始めるようになりました。

また、息子は絵をかくことが好きなのですが、描き終えると日付を数字だけでなく、英語や日本語、韓国語で書いています。

例えば、

同じ6月15日でも

June 15 、 六月十五日、6월15일

といった具合で、その時の気分で書き分けています。

テレビ番組や音楽も、子どもの関心に応じて切り替えられるようにして、言語に対する抵抗を生まないように、本人の気分に合わせて言語選択をするようにしています。

このような工夫が、各言語に抵抗感を生まないようにするために、多言語育児には必要ではないかなと考えます。


ルール4:言語の揺り戻しに柔軟に対応する

揺り戻しとは?

言語の「揺り戻し」とは、ある言語の使用頻度が一時的に減少したり、別の言語が優勢になる現象を指します。

我が家でも、子どもが韓国語ばかりを話すようになった時期がありました

日本語を再び取り戻した過程

そのような状況下で、新型コロナウイルスのパンデミックがニュージーランドにも及び、当時世界の中でも最も遅くパンデミックを経験していなかったこの国も、ついに国境封鎖とロックダウンを迎えました。

突然のロックダウンによって家庭で過ごす時間が劇的に増え、私は子どもと向き合う時間を利用して、日本語の絵本を毎日読み聞かせるようにしました。

2度目のロックダウンではさらに読み聞かせの頻度を高め、子どもが気に入った物語は暗唱できるほどに繰り返しました。

次第に、子どもは「お父さんとは日本語で話す」という言語スイッチを身につけ、今では私との会話には自然と日本語を使うようになっています。


ルール5:親自身も学びながら共に育つ

定期的な見直しと柔軟性

子どもが成長するにつれて、言語環境も常に変化します。

幼稚園の方針、学校の言語、周囲の友人関係など、言語使用のバランスは刻一刻と変わるため、私たち親も定期的に現状を見直すようにしています。

自信を持って家庭言語を使う

英語が不得意な私たち夫婦にとって、家庭内で英語を無理に使おうとするとストレスになりかねません。

そのため、あえて英語には踏み込まず、日本語と韓国語という「自分たちの得意な言語」でしっかりと子どもとの関係性を築くことに集中しています。

これが結果的に、子どもの安心感とアイデンティティ形成にもつながっていると感じています。


まとめ:多言語育児は家族の学びと成長の旅

3言語での育児は、単に言語教育という枠にとどまらず、親としての在り方や家族のコミュニケーション全体に影響を及ぼします。

言語は単なる「道具」ではなく、文化・感情・価値観を伝える「媒体」です。

我が家では、親も子どもと一緒に学び、時に迷いながらも歩みを止めずに進んできました。

今後も完璧を求めすぎず、それぞれの言語の持つ魅力や背景を大切にしながら、我が家らしい言語育児を続けていきたいと思います。

この記事が、同じように多言語環境で子育てをしている方々の参考になれば嬉しく思います。

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