海外で子どもの日本語が弱くなるのはなぜ?家庭できる対策

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海外で子育てをしている日本人家庭の多くが感じる悩みの一つが、子どもの日本語が弱くなってしまうことです。

家庭では日本語を話しているつもりでも、気づけば子どもは現地の言語ばかり話すようになり、日本語の語彙が少なくなったり、日本語でうまく表現できなくなったりすることがあります。

これは決して珍しいことではありません。

むしろ海外で育つ子どもにとっては非常に自然な現象です。

この記事では、ニュージーランド在住の日韓家庭でトリリンガル育児を現在進行形でおこなっている筆者(父)が

・海外で子どもの日本語が弱くなる理由

・日本語を維持するために家庭でできること

・海外家庭におすすめの日本語教育方法

についてわが家の経験を元に解説します。


目次

海外で日本語が弱くなるのは普通?

結論から言うと、海外で子どもの日本語が弱くなるのは珍しいことではありません。

子どもは基本的に一番多く使う言語を一番上手に話すようになります。

例えば

・学校

・友達

・テレビ

・YouTube

・本

これらの多くが現地語である場合、子どもは自然とその言語を中心に使うようになります。

その結果、日本語を家庭で話していても

・語彙が少ない

・文法が単純になる

・日本語で説明するのが難しい

といった状況が起こることがあります。

これは言語能力の問題ではなく、言語環境の違いによる自然な結果です。

わが家でも、子どもが小学校に入学する6歳までは、韓国人である母親と一緒に過ごす時間が圧倒的に多かったため、子どもの言語比率は

韓国語>日本語>英語

という順序でした。

しかし、小学校に入学すると学校生活では完全な英語環境になるので、少しずつ英語の比率が増えてきました。

その結果、まもなく8歳になる現在の息子の言語比率は日本語と英語が逆転し

韓国語>英語>日本語

となっています。

家庭内では英語はほとんど使用していなかったので、小学校入学当初は英語での生活に少し心配していましたが、今では私が積極的に日本語を使う機会を作らなくては、日本語を忘れてしまうのではないかと思う程です。


日本語が弱くなる5つの理由

海外で子どもの日本語が弱くなる主な理由には、いくつかの共通点があります。

1. 現地語を使う時間が圧倒的に多い

子どもは学校や友達との会話など、日常生活のほとんどを現地語で過ごします。

そのため自然と

現地語=生活の言語

になっていきます。

わが家の住むニュージーランドのオークランドは韓国人もたくさん住んでいるため、小学校に入学するとクラスメートに韓国人もいました。

その為、最初の頃は学校に行っても韓国人の友達と韓国語ばかりを使っていました。

また私たち家族の友人は韓国人が多いので、外で話す言葉も生活に必須のコミュニケーション以外は、英語での会話より韓国語がメインになっており、ニュージーランドに住んでいながらも、生活言語は英語より韓国語が占める割合が大きくなっていました。

しかし息子は学校生活にもなれた7歳のYear2(日本の小学2年生に相当)になると、現地の友達も増え、気がつくと現地の友達と流ちょうに英語で会話をするようになっていました。

韓国人の友人とも、相手が英語で話しかけてくれば英語で返答し、韓国語で話しかけてくれば韓国語で返答したりと、家庭内での母親(韓国人)と父親(私)に接するのと同じように、彼の中で言葉のスイッチが形成されていっていました。

学校生活に慣れていく中で、彼の世界が広がり家の外での自分の世界の時間も増え、それに伴い英語を必要とする時間も増えていくことで、彼にとっての生活の言語に英語の占める割合が増えてきたのだと思います。

2 .日本語を使う相手が少ない

海外では、日本語を話せる人が家族以外にほとんどいない場合もあります。

その結果

・日本語で会話する機会が少ない

・日本語を使う必要性が少ない

という環境になりやすいです。

わが家場合もまさにこのケースでした。

小学校に入学する前までは、同年代の日本人の友達は1人もいませんでした。

そのため、私のとの会話が唯一の日本語を使う機会です。

私が日本語で話しかけなければ息子の日本語は消えてしまう、そんな環境でした。

幸い私はその危機感に早く気づくことができ、タイミングよくコロナによるロックダウンがおこり、子どもと徹底的に日本語で向き合う機会を得ることができました。

小学校に入学すると、学校には日本人の生徒もいて友達もできました。

しかし、外で会う時は日本語で会話をしますが、学校ではお互いにそれほど積極的に日本語で話すことはないようで、学校という生活の場での言語は英語と認識が形成されていたのでしょう。

3 .読み書きの機会が少ない

言語は読む・書くことで語彙が増えます。

しかし海外では

・日本語の本

・日本語の教材

に触れる機会が少ないことも多く、語彙力の差が生まれやすくなります。

日本の学校に通っていれば、毎日のように日本語の書き取りや読み取りをし、算数や理科も日本語で考えます。

家庭で日本語教育を行ったとしても、日本の学校に通っている同年代の子とは、圧倒的に量が違います。

わが家では、小さい時から絵本を読み聞かせ、自分でも本を読む習慣がいていますが、それでも日本の学校に通う同年代の子とは、量が非常に少ないです。

4 .日本語の教育環境が限られている

日本では学校で自然に日本語教育を受けますが、海外ではその環境がありません。

そのため、日本語を体系的に学ぶ機会が少ないこともあります。

もちろん現地に補習校なども存在しますが、時間や場所が限られているため、簡単には行かない場合も多いです。

5 .子ども自身が現地語を選ぶ

これが子どもが大きくなるにつれて、日本語が弱くなるいちばんの理由だと思います。

子どもは周囲の環境に適応するため、自然と多数派の言語を使うようになります。

特に

・学校

・友達関係

では現地語が中心になるため、日本語よりも現地語の方が使いやすくなることがあります。

また、私の周囲の日本人家庭、韓国人家庭での話を聞くと、兄弟姉妹同士でも会話をするときにも英語で会話をするようになっていくケースが多いそうです。

海外で日本語を守る方法

海外で日本語を維持するためには、家庭の環境づくりがとても重要です。

先にあげた日本語が弱くなる主な理由を塗りつぶす対策が必要です。

いくつかの方法を紹介します。

家庭では日本語を使う

家庭内で使う言語は日本語と決めておくと、日本語を使う機会を増やすことができます。

非常に簡単なルールですが、実践するとなかなか難しことを実感すると思います。

ついうっかり、外で使いなれている言語がでてしまうということは、子どもだけでなく親である私たちにもよくあるからです。

特に、家庭内で親も現地語を使って子どもと会話をしてしまっていた家庭では、子どもは親が現地語を理解できる人と認識してしまっています。

この状況から、親は日本語で話さなくてはいけない人、ともう一度認識を変えることは根気が必要です。

私も子どもが2歳のころまでは、家で韓国語を使うことが多かったため、息子が私に再び日本語で話すようになるまでは、時間が必要でした。

しかし、根気強よく子どもと向き合えば、子どもは日本語で話してくれるようになるはずです。

日本語の本を読む

子どもにとって読書は語彙を増やす最も効果的な方法の一つです。

海外にいて、普通に過ごしていては日本の本を読む機会が少ないのは当たり前です。

それならどうするか?

私たち親が意図的に、その時間を作ってあげればいいのです。

そして日本語の絵本や児童書を読むことで、自然と子どもは語彙が増えていきます。

また、ひとことに読むといっても

・親が子どもに読み聞かせる

・子どもと一緒に読む

・子どもに朗読してもらう

と色々な方法があります。

そして読むだけでなく、読んだあとに、本の内容を子どもと一緒に会話で楽しむことまでをセットにすると、子どもが日本語を使うことを楽しく感じることができます。

わが家では、2歳の時に日本語の絵本の読み聞かせを始めたことにより、一時話さなくなっていた日本語を再び話すようになりました。

日本語の動画や音声を活用する

日本語で会話をするのが家族のみになりがちな海外家庭の場合、子どもらしい自然な言葉づかいを習得させるのが難しいです。

しかし子ども向けの番組やアニメを活用することで、子どもらしい言葉づかいを自然に身につけることができます。

最近はオンラインで日本語のコンテンツに簡単にアクセスできます。

日本語の動画やアニメなどを活用することで、日本語に触れる時間を増やすことができます。

一方で子どもの吸収力はとても強いので、番組の厳選はとても重要です。

子ども向けのアニメと思っていても、言葉づかいや少し乱暴なコンテンツを利用してしまうと、子どもの語彙や行動も同じようになってしまう恐れがあるからです。

適切なコンテンツを選んであげて、子どもが

・日本語って面白い

・日本語で話したい

と子どもに思ってもらえることが大切です。

家庭でできる日本語教育

海外で日本語を維持するためには、家庭での小さな工夫が大きな効果を持つことがあります。

家庭でできる日本語教育といって構える必要はなく、小さなことでも時間を作って子どもと一緒にやることが必要です。

例えば

・日本語で日記を書く

・日本語で会話する時間を作る

・日本語の本を読む習慣を作る

こうした積み重ねが、日本語の維持につながります。

わが家のケース:海外で日本語を維持するためにしている5つのこと

ここでわが家が実践している、日本語を維持するためにしていることを5つご紹介します。

1. OPOLOne Parent One Language)の徹底

OPOLとは(One Parent One Language)の略で「ひとりの親がひとつの言語を使う」という育児方法を意味します。

わが家は妻が韓国人で私が日本人、住んでいる国は英語圏のニュージーランドです。

またお互いがお互いの国の言葉をビジネスレベルで話すことができます。

そのため、息子との会話は

母親(妻)は韓国語で話しかける

父親(私)は日本語で話しかける

ということを徹底して行っています。

しかし周りに韓国人が多い環境であったこともあり、最初の頃に私はよく日本語ではなく、韓国語で会話をしてしまうことがありました。

そのため、一時は息子が日本語を話してくれない時期もありました。

この時に危機感を覚えた私は、日本語で話しかけることの徹底を心がけるようにすることで、息子は再び日本語で話をするようになりました。

まもなく8歳を迎えるこの記事の執筆現在では、私と一緒にいるときは、「痛い」「怖い」などの突発的な感情表現も、日本語がでてくるようになりました。

7歳6ヶ月ころのある日、息子が自転車で転んでケガをし、

息子くん

「おとーさーん、痛いよー、痛いよー」

と私のもとに泣きながら遠くから歩いてきたとき、もちろんケガの心配が第一でしたが、

ろは

あ、この子は日本語がしっかりと根ざしたな

と感じました。

また、家族3人で話しをしているときも、母親と息子は韓国語で会話をしつつ、続きを私に話すときは日本語で会話をするということも自然におこなっており、彼の中に言語のスイッチが形成されました。

そのため、息子が間もなく8歳を迎える現在は、最初のころほど厳格ではなく、親子3人で話すときはどちらかの言語になっているときもあります。

ただし、2人で話すときは変わらず私は日本語、妻は韓国語です。

2.絵本の読み聞かせ

わが家で実践して本当によかったと思うのが、この絵本の読み聞かせです。

息子が日本語をあまり口にしなくなっていた2歳になるころ、危機感を感じ始めたのがきっかです。

毎日、ときには一日中日本語の絵本の読み聞かせを行うことで、日本語に再び興味をもちだし、日本語を口にするようになりました。

一時は気に入った絵本の内容を、丸暗記するほどになっていました。

絵本にでてくるキャラクターの話し方や絵本らしい日本語のリズムのおかげで、楽しく日本語に触れ、日本語を発するのが楽しいと思ってくれたのがうれしかったです。

また、昔話などをとおして、日本の文化なども伝えることができています。

間もなく8歳を迎える現在でも、毎日ではなくなりましたが、寝る前には絵本の読み聞かせをおこなっています。

この絵本の読み聞かせを始めたことがきっかけで、本を読む習慣もつました。

図鑑なども自分でよくひらくようになり、学校では現地の本を図書館から借りてきて読んだりもしています。

絵本を読んだあとは、その内容や出てきたキャラクターについて、日本語で会話をします。

何度も読んだ本でも、子どもは新しい発見をします。

それについて、会話を広げていくことで親子のコミュニケーションをとりながら、子どもの日本語を伸ばしてあげることの手伝いができます。

3.机に向かう時間をつくる

会話ができていても、書き取りや読み取りは机に向かわなくては身につきません。

そのため1週間に1日だけ、机に向かう時間を設けていります。

とはいっても、ニュージーランド小学校は日本のように机に向かって授業をするスタイルではないので、机に向かうということに慣れないため、集中力は30分も続きませんが(苦笑)。

最初は「ひらがな・カタカナ」からはじまり、現在は漢字も教えています。

またこの時に、本の朗読もしています。

読むのは自分の好きな絵本であったり、領事館から配布された日本の教科書であったり特に取り決めはありません。

息子はもともと韓国語の方が得意で、最近はだんだんと英語を話す時間も増えてきています。

そのため、日本語の発音が少しおかしかったりすることもよくあります。

本に書かれた文字を、声をだして読むことで、息子の苦手な発音を知ることができ、本人も教えることができるので、本の朗読はとても大切な時間です。

4.日本の番組をみる

わが家は子どもが小さいころからテレビを見ることがほとんどありませんでした。

また、海外ですので日本の番組をみるのもとても限定的です。

しかし、日本語の情報が父親(私)の話す言葉だけしかない。

この状況でいると、息子の語彙力、表現力があまり伸びないと感じました。

そのため、日本語のコンテンツを見せることも5歳ころから少しずつ始めました。

ただし注意したのは、表現や言葉づかいが丁寧なものを選ぶということでした。

日本語の情報が乏しい息子にとって、語感だけを切り取って面白いと感じてしまえば、それがあまりよい表現でなくても使ってしまう恐れがあると思ったからです。

そもそも息子は怖がりなので、乱暴的な映像自体が好きではなかったので、序盤や中盤に争い事がある、勧善懲悪ものは子ども向けでも見ませんでした。

そんな中、Netflixのポケモンコンシェルジュはキャラクターがかわいいので息子もお気に入りで、親としても登場人物がみな綺麗な言葉づかいをしてくれるので、安心して見せていました。

そんな息子が、7歳の時からお気に入りで見ている番組が、NHKの教育番組です。

ウェブサイトのNHK for School から視聴ができます。

学年や、教化ごとに番組が整理されていて、子ども自身でも選びやすくなっています。

内容もさすがNHKですので、とてもよくできています。

国語では読み書きを楽しいコント劇で学ぶことができたり、気持ちの伝え方などを考える番組がったり、道徳では人形たちが繰り広げる人形劇で、楽しく子どもの悩みや道徳を学ぶことができます。

たくさんの自然な表現や、子どもらしい言葉づかいがでてくので、息子のように海外で生活している子どもにとって本当に楽しみながら学ぶことができるコンテンツです。

なによりも、NHKの教育番組ですので、安心して見せることができます。

時間も5分から20分程度の番組構成なので、ダラダラと長く見つづけるようなこともありません。

息子は朝の登校まえの時間に見るのが日課になっており、

息子くん

お父さん、今日はNHK見てもいいですか?

と毎朝きいてきます(笑)。

5.会話の時間をつくる

わが家ではまだ息子が7歳ということもありますが、毎日の会話を大切にしています。

1日の出来事をお互いに話したり、息子が持ってくる質問に答えたり、本を読んだあと内容や感想を言い合ったり。

朝ごはんを食べる時、学校に送っていく車の中、夜寝る前の時間。

毎日話していると、違うことを話そうとするので、息子は話したいことが日本語で上手くはなせなくて、ときには韓国語をつかったり、ときにはイライラしたりしています。

最近の息子と会話をしていて感じるのは、韓国語や英語にくらべて、圧倒的に日本語の語彙力が足りていないという点です。

韓国語は本人が一番ラクに話せるといっている言語です。

英語は7歳の4月までは日本語より難しいといっていた言語ですが、7歳の12月になると学校生活のおかげか飛躍的に上達し、学校での話を日本語の会話をしてわからない単語があると、その単語を英語に置きかえて話すようになりました。

息子には日本語を話す機会が必要で、その場を私が担わなくてはいけないと日々感じています。

インプットばかりを強いても、アウトプットがなければ語学は伸びません。

海外在住の子どもたちが、日本語を聞き取れるけど話すのは苦手となってしまう原因は、日本語を話す機会がないからです。

様々な媒体を通して色々な表現を学ばせても、使う機会を与えてあげなければ意味がありません。

外の世界で使う機会がなければ、私たち親が日本語を作ってあげればいのです。

ろは

なによりも、私は息子と日本語で話す時間が楽しくてしかたがありません。

まとめ

海外で子どもの日本語が弱くなるのは、決して珍しいことではありません。

子どもは

一番多く使う言語を一番上手に話すようになる

ため、現地語中心の環境では日本語が弱くなることは自然なことです。

しかし

・家庭で日本語を使う

・日本語の本を読む

・日本語のコンテンツに触れる

といった環境を作ることで、日本語を維持することは十分可能です。

海外での子育てでは、子どもの言語環境について悩むことも多いですが、それぞれの家庭に合った方法で無理なく日本語に触れる機会を作ることが大切です。

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