海外で子育てをしていると、子どもの言語について不安を感じることはありませんか。
・家では日本語で話しているのに、だんだん別の言語の方が強くなっていく。
・一時は話していたはずの日本語を使わなくなってしまう。
わが家でも、まさにそのような変化を経験してきました。
特にわが家は、日韓家庭でニュージーランド在住の日本語・韓国語・英語の3言語環境で子どもが育っています。
息子はもともとは日本語で話していた時期があったにも関わらず、ある時期から徐々に韓国語ばかりを使うようになり、日本語をほとんど話さなくなったことがあります。
しかしその後、関わり方を変えたことで日本語を取り戻し、さらに小学校に入ると英語が一気に強くなりました。
同じ子どもでも、環境が変わるだけで使う言語は大きく変化します。
この記事では、この記事では、ニュージーランド在住の日韓家庭でトリリンガル育児を現在進行形でおこなっている筆者(父親)が、わが家の約7年間の実体験をもとに、年齢ごとの言語の変化とその背景、そして親として感じたことを具体的にまとめます。
結論|子どもの言語は環境でここまで変わる
わが家の7年間の経験を通して強く感じているのは、子どもの言語は「才能」ではなく「環境」によって大きく変わるということです。
実際にわが家では、日本語で話していた時期があったにも関わらず、徐々に使わなくなったこともありました。
しかしその後、絵本の読み聞かせをきっかけに日本語を取り戻し、さらに友達との関わりによって英語が一気に伸びるという変化も経験しています。
同じ子どもでも、置かれている環境によって使う言語は大きく変わります。
特に感じているのは、英語は環境があれば自然に伸びる一方で、日本語は意識しないと維持が難しいという点です。
そのため、海外で日本語を維持したい場合は、特別な教育よりも、日常の中でどれだけ使う環境を作れるかが重要だと感じています。
また、一度使わなくなった言語でも、関わり方次第で取り戻すことができるということも分かりました。
わが家の場合は、ロックダウンをきっかけに始めた絵本の読み聞かせが、日本語を取り戻す大きなきっかけになりました。

現在も英語の影響で日本語が弱くなってきている部分はありますが、環境と関わり方次第で言語は変わるという実感があることで、必要以上に不安になることはなくなりました。
完璧を目指すのではなく、その時々の環境に合わせて関わり方を考えることが大切だと感じています。
0〜2歳:日本語から韓国語へ変化した時期
息子は生まれてから1歳までは韓国で生活し、その後ニュージーランドへ移住しました。
また、0歳9ヶ月から約3ヶ月間は日本で過ごしており、幼い時期に日本語に触れる機会もありました。
また、わが家の家庭内言語は息子が生まれた時から、居住地に関わらず
・母親 → 韓国語
・父親(筆者)→ 日本語
で息子に話しかけると決めていました。
そのため、息子はニュージーランドに移住したのちも言葉を話し始めた頃は、私が日本語で話しかけると日本語で返していました。
しかしその後、徐々に変化が起きます。
外の世界は英語、私は仕事で家にいる時間が少ないため、家庭内では母親とのコミュニケーションが中心です。
また海外での子育てということで、同じ国のママ友と知り合うことも増えました。
つまり
英語圏に住んでいるが生活言語の中心は韓国語であり、さらに外で韓国人の知人と過ごす場面では、父親である私自身も韓国語を使っていたため、次第に家庭内でも私も韓国語を使用することが増えていました。
妻には「あなたが日本語を使わないと、息子くんが日本語を話さなくなるよ」
とたびたび注意を受けていたのですが、当時の私はそれほど深く考えていませんでした。
家庭内で父親である私が日本語でなく韓国語を使うことが増えた結果、子どもも私に対しても韓国語で返すようになっていきました。
そして2歳直前には、日本語で話しかけても返事は韓国語ばかりという状態になっていました。
最初からできなかったのではなく、できていた日本語を使わなくなっていったという感覚です。
この時にようやく、このままでは日本語が弱くなると強く感じ、本格的に息子の日本語と向き合うようになりました。
2〜3歳:ロックダウンで日本語を取り戻した時期
この時期に大きな転機となったのが、ニュージーランドでのロックダウンでした。
外出が制限され、外の世界である英語に触れる機会がほとんどなくなりました。
その代わりに増えたのが、家庭内での時間です。
この時に私がおこなったことは、日本語での会話と日本語の絵本の読み聞かせです。
詳しくは以下の記事を参照ください

毎日継続して日本語の絵本を読み、日本語の童謡を歌ったりと息子と日本語で毎日一日中過ごすようにしたことで、徐々に日本語で返す場面が増えていきました。
最初は単語レベルでしたが、少しずつ会話として成立するようになっていきました。
一度使わなくなっていた日本語が、再び戻ってきたと感じた時期です。
ロックダウンという特殊な環境ではありましたが、英語習得という意味ではマイナスであった一方で、家庭内の言語という意味ではプラスに働いたと感じています。
またこの時期に、ひらがな表を貼り出し、絵本と一緒にひらがなにふれる機会を増やしました。

3〜4歳:英語環境に入るが影響は限定的
3歳になると幼稚園に入園しましたが、最初は英語をほとんど理解できない状態でした。
さらにロックダウンの影響で登園できない期間も度々あり、英語に触れる時間は限られていました。
その間、引越しがり4歳で園が変わった後も、一人で遊ぶことが多く、英語の使用は限定的でした。
時間が経つにつれて、時々一緒に遊ぶ友達や、先生とはある程度意思疎通ができていたものの、この時期はまだ韓国語と日本語が中心で、英語は補助的な位置でした。
文字については、1歳の頃からアルファベットマットやアルファベット磁石を冷蔵庫に貼ったりなどして遊びながら覚えていたので、アルファベットを読むことはできていました。
5歳:日本と韓国で言語が伸びた時期
5歳の時に、日本と韓国で生活する機会がありました。
日本では祖父母と過ごし、また同年代の子どもと遊ぶ機会もありました。
その結果、短時間で話し方が変わり、日本の子どもらしい自然な口調で話すようになりました。
特に印象的だったのが、初めて会う同年代の子と遊んでいる時、30分くらいすぎた頃から子どもらしい口調で一緒に遊んでいることに気づいたことです。
ろは一緒に遊ぶ子がいるだけで、言語の使い方がここまで変わるのかと驚きました。
それと同時に環境が変わることで、子どもの言葉はあっという間に成長するということを、強く感じることができた経験でした。
その後、韓国では幼稚園に通い、韓国語環境の中で生活しました。
韓国語は日本語のように敬語やタメ口があります。
小さい子でも大人や先生にはきちんと敬語を使うことが好まれます。
また韓国では小さな子どもでも、同じ歳の子が友達で、歳が1つでも離れていると、お兄さんや弟になり友達ではないとう友人関係があります。
しかし息子はニュージーランドで育ちニュージーランドの幼稚園に通っていたので、敬語という概念があまりなく、登園最初のころは、幼稚園の先生から敬語があまり使えていないとの指摘をうけていたそうです。
友人関係も、歳が離れていても関係なく、みんなタメ口で話しかけていました。
しかし、数か月の滞在のなかでで、言葉づかいや友人関係の感覚などもすぐに順応していきました。
ニュージーランドに戻ってきてからは、以前よりもより韓国語は強い言語として維持されました。
6歳:小学校入学、英語はまだ弱い
6歳になるとニュージーランドで小学校に入学しましたが、最初の1年は友達が少なく、クラスメートに韓国人がいたこともあり、韓国語で話す時間が多い状態でした。
そのため英語英語の使用は限定的でした。
このころの言語バランスは、韓国語が最も多く、日本語、英語の順でした。
学校生活という外の世界が英語に変わっても、英語はまだ優勢とは言えない状態でした。
7歳:英語が一気に伸びた転機
転機となったのは、隣に住んでいた英語圏の同級生と頻繁に遊ぶようになったことです。
日常的に英語で会話する機会が増えたことで、英語力が一気に伸びました。
最初のころはたどたどしく会話をしていたのですが、気がつくととても早いスピードでコミュニケーションをとれるようになっていました。
これは学校よりも、日常的に関わる友達の影響の方が大きいと感じた出来事でした。
7歳後半〜現在:英語が優勢になり始める
現在は学校でも英語圏の友達が増え、英語の使用頻度が大きく増えています。
言語バランスとしては韓国語が最も多いものの、英語の使いやすさがかなり上がっていると感じています。
一方で、日本語の使用頻度は以前より減ってきています。
7歳11ヶ月の言葉の比率は
・韓国語 : 60%
・日本語 : 20%
・英語 : 20%
となり、韓国語は今でも一番の言語ですが、日本語は私が少しでも気を緩めたらすぐに英語に追い越されてしまう段階まできています。
なぜ英語が伸びたのか
英語が伸びた理由は非常にシンプルで、使う環境が増えたことにあります。
学校に通っているだけではなく、日常的に使う機会が増えたことで、自然に身についていきました。
言語は学ぶものというよりも、使うことで定着していくものだと実感しています。
日本語はどうなるのか
海外では、日本語に触れる時間は意識しない限り減っていきます。
その結果、語彙が増えにくくなり、日本語で会話をしていても、単語や表現が出てこないときは、英語で代替される場面も増えていきます。
また、日本語でアウトプットする機会が減ることで、使える表現も徐々に限られていきます。
そのため、日本語は意識して使う環境を作ることが重要になります。
日本語は何もしなければ、確実に弱くなります。


親として感じていること
この7年間を通して強く感じているのは、子どもの言語は想像以上に環境に左右されるということです。
英語は学校や友達との関わりの中で自然と伸びていきますが、日本語は意識して使う機会を作らなければ、少しずつ使われなくなっていきます。
実際にわが家でも、一度は日本語で話していたにも関わらず、気づけば韓国語だけで返すようになり、日本語をほとんど使わなくなった時期がありました。
その時に感じたのは、「このままでは自然には戻らない」ということでした。
そこから、読み聞かせを中心に日本語と向き合う時間を増やしたことで、少しずつ日本語を取り戻していきました。


この経験から感じているのは、言語は「できるかどうか」ではなく、「使うかどうか」で変わるということです。
また、英語についても同じで、学校に通っているだけでは大きな変化はありませんでしたが、友達と日常的に遊ぶようになったことで一気に伸びました。
つまり、言語は勉強として与えるものではなく、生活の中で自然に使うことで身についていくものだと実感しています。
一方で、すべてをコントロールすることはできないとも感じています。
どの言語が強くなるかは、その時の環境や人間関係によって変わります。
だからこそ、親としてできることは限られていて、どの言語をどの場面で使うのか、どのような関わり方をするのかを意識することが大切だと思っています。
完璧にバランスよく育てることを目指すのではなく、その時々の状況に合わせて調整していくことが、現実的で続けやすい方法だと感じています。
まとめ
わが家の7年間の経験を通して、子どもの言語は固定されたものではなく、環境によって大きく変化し続けるものだと実感しています。
日本語を話していた時期もあれば、使わなくなった時期もあり、そこから再び取り戻した経験もあります。
また、英語についても、学校に通っているだけでは大きくは伸びず、友達との関わりをきっかけに一気に伸びました。
このように、言語の成長は直線的ではなく、その時々の環境や関わり方によって大きく変わります。
特に海外で生活している場合、英語は自然に伸びていく一方で、日本語は意識しなければ維持が難しい言語になります。
そのため、日本語を大切にしたいと考える場合は、日常の中で無理なく使える環境を作ることが重要です。
ただし、すべてを完璧にコントロールすることはできません。
言語のバランスは常に変化するものだと受け入れながら、その時の状況に合わせて関わり方を調整していくことが大切だと感じています。
迷った場合は、まずは子どもが自然に使いやすい環境を整えることを意識することが、結果的に長く続けられる方法だと思います。
この記事が、同じように子どもの日本語について悩んでいるかたの助けになれば幸いです








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