移住を考えている人だけでなく、すでにニュージーランドに住んでいる人でも、制度の全体像を把握していない方も多いのではないでしょうか。
5歳から小学校へ入学する仕組み、Year0・Year1という学年の考え方、4学期制、NCEA、高等教育への進学方法など、日本の教育制度とは違う点が数多くあります。
そのため、
・ニュージーランドの学校はどのような流れになっているのか
・子どもは何歳から何を学ぶのか
・日本との違いはどこにあるのか
といった全体像が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ニュージーランドの教育制度を幼児教育から高等教育まで一つの流れで整理し、それぞれの特徴をわかりやすく紹介します。
ニュージーランドの教育制度の全体像
ニュージーランドの教育制度は、大きく分けると次の3つの段階で構成されています。
・就学前教育(Early Childhood Education:ECE)
・初等・中等教育(Primary・Intermediate・Secondary School)
・高等教育(Tertiary Education)
義務教育は「6歳から16歳まで」で、Primary School(小学校)、Intermediate School(中間校)、Secondary School(高校)までがその対象です。
日本も幼稚園・小学校・中学校・高校・大学という流れですが、ニュージーランドでは制度や考え方が日本とは異なる部分が多くあります。
たとえば、
・5歳の誕生日を迎えると小学校へ入学できること
・学年が「Year1」「Year2」と呼ばれること
・高校では全国共通資格である NCEA を取得しながら進学や就職を目指すこと
・大学だけでなく、実践的な職業教育を行うPolytechnic(ポリテクニック)も高等教育に含まれること
など、日本ではあまり馴染みのない仕組みがあります。
まずは、それぞれの教育段階を簡単に見てみましょう。
就学前教育(ECE)
0歳から小学校入学前までの子どもを対象とした教育・保育です。
KindergartenやChildcare Centreなど、いくつかの施設があり、3歳からは政府による「20時間ECE補助制度」も利用できます。
詳しくはこちら
「ニュージーランドの幼児教育(ECE)とは?20時間無料制度や施設の違いを解説」
初等・中等教育
5歳から始まり、小学校・中学校・高校へと進んでいきます。
ニュージーランドでは義務教育は6歳から16歳ですが、多くの子どもは5歳で小学校へ入学します。
「6歳から義務教育」というのは、
「子どもは6歳の誕生日を迎えるまでに、必ず学校に在籍していなければならない」
という意味で、義務とは日本と同様、親(保護者)の義務をさします。
ろはわが家は学校入学前に韓国へ帰国していたので、5歳ではなく6歳の誕生日前に入学しました
また、小学校では学力だけでなく、自主性や探究学習を重視する教育が行われています。
初等・中等教育については、こちらの記事で詳しくまとめています。




高等教育
高校卒業後は、
・大学(University)
・Polytechnic(ポリテクニック)
・専門教育機関
などへ進学します。
日本と異なり、大学進学だけが一般的な進路ではなく、自分が目指す職業に合わせて実践的な教育機関を選ぶ人も多くいます。
詳しくはこちら


「ニュージーランドの大学・ポリテクニックとは?高等教育制度をわかりやすく解説」
日本とニュージーランドの教育制度の違い
日本では義務教育が「6歳から15歳まで」となっており、小学校6年間+中学校3年間がその対象です。
高校は義務ではありませんが90%を超えており、大学進学率は60%ほど、専門学校を含めた進学率は80%を超えています。
一方、ニュージーランドでは、高校(Secondary School)は、義務教育として定められているのはYear11(15〜16歳)までで、それ以降のYear12・Year13は進学やキャリア準備のために任意で通う段階になります。
ニュージーランドの義務教育をまとめると以下の通りです。
| 教育段階 | 学年 | 年齢 | 義務教育か |
Primary School | Year 1 – 6 | 5 – 10 歳 | (Year 1 以降) |
Intermediate School | Year 7 – 8 | 11 – 12歳 | |
Secondary School | Year 9- 13 | 13 -18 歳 | (Year 11 まで) (※Year12〜13は任意) |
義務教育を終えると、高等教育に移っていきますが、ニュージーランドの高校では、NCEA(National Certificate of Educational Achievement)という国家資格取得が目標となります。
このNCEA資格認定率を見ると、高校卒業とみなされる、Level 2以上修了者は70%前後、より高い進学(大学・専門教育)や奨学金、職業訓練の条件となる最終レベル(Level 3)取得者は60~70%程度と考えられます。
つまり、ニュージーランドでは大学に進学するのは3〜4割程度ですが、ポリテクニックなどの職業訓練機関を含めると、高校卒業者の約7〜8割が何らかの高等教育機関に進んでいます。
日本とニュージーランドでは、「大学進学率」と「高等教育進学率」の意味合いが異なります。
日本では大学と短大・専門学校が明確に区別されますが、
ニュージーランドでは大学だけでなく、職業訓練機関(PolytechnicやITPなど)も同じ「高等教育」として扱われます。
そのため、大学進学率よりも高等教育進学率のほうが高くなります。
また、日本が学歴を重視する傾向があるのに対し、ニュージーランドでは将来の職業に直結するスキルや関心のある分野を重視して進路を選ぶ傾向があります。
こうしたことから、ニュージーランドの教育制度は、日本と比べると「自由度が高い」という印象を受ける方が多いかもしれません。
しかし実際には、単に自由というだけではなく、「子どもの成長に合わせて選択できる仕組み」が教育全体に組み込まれているといえます。
たとえば、日本では4月に全国一斉で入学しますが、ニュージーランドでは5歳の誕生日を迎えると入学できる仕組みが基本なので、家庭により入学時期が異なるため同じ学年でも年齢差があります。
また、学年の考え方や学期の区切りも日本とは異なります。
さらに、学校で学ぶ内容だけでなく、「子どもが主体的に学ぶこと」や「多様性を尊重すること」が教育全体の考え方として根付いている点も、大きな違いの一つです。
主な違いを簡単にまとめると、次のようになります。
| 日本 | ニュージーランド | |
| 入学 | 4月一斉入学 | 5歳の誕生日以降に入学(学校によりコホート制あり) |
| 学期 | 3学期制が一般的 | 4学期制(Term1〜4) |
| 学年 | 年齢ごとに一斉進級 | 入学時期が異なるため同じ学年でも年齢差がある |
| 授業 | 学力・知識の習得を重視する傾向 | 探究学習や主体性を重視 |
もちろん、日本とニュージーランドのどちらが優れているという話ではありません。
実際に子どもを通わせて感じるのは、それぞれに長所と課題があるということです。
そのため、それぞれの教育段階でどのような特徴があるのかを理解し、家庭でも子どもの成長に合わせてサポートしていくことが大切だと感じています。
実際に子どもを通わせて感じたこと
教育制度の説明だけを見ると、日本との違いは「入学時期」や「学年の仕組み」など、制度面ばかりが目につくかもしれません。
しかし、実際に子どもを通わせてみると、一番大きな違いは制度ではなく、教育に対する考え方でした。
わが家では息子がニュージーランドで幼児教育(ECE)を経験し、その後プライマリースクールへ進学しました。
その中で、日本と比べて特に印象的だったことがいくつかあります。
子どもがのびのび過ごせる環境
まず感じたのは、子どもが本当に楽しそうに学校へ通っていることです。
勉強だけでなく、
・遊び
・運動
・自然とのふれあい
・友達とのコミュニケーション
こうした時間も教育の一部として大切にされています。
特に低学年では、「座って勉強する時間」よりも、自分で考えたり体験したりする時間が多い印象を受けました。
一人ひとりの個性を大切にする
ニュージーランドでは、「みんな同じ」であることよりも、一人ひとりの個性を尊重する考え方が強く感じられます。
得意なことも苦手なことも、その子らしさとして受け止める雰囲気があります。
もちろん学校によって違いはありますが、息子が通ってきた学校でも、「周りと比べる」という空気はあまり感じませんでした。
日本との違いと戸惑い
一方で、日本との違いに驚いたこともありました。
例えば、
・Year0という考え方
・入学時期の仕組み
・教科書が存在しない
・自分専用の机に座った授業ではない
などは、日本で育った私にはなかなか理解できませんでした。
最初は「本当にこれで勉強になるのだろうか」と感じることもありましたが、実際に子どもの様子を見ていると、子どもなりに多くのことを吸収していることも分かってきました。
だからこそ、この教育制度を理解するときは、日本と比べて良い・悪いと考えるのではなく、「考え方が違う」と捉えることが大切なのだと思います。
Year0の考え方や入学時期の仕組みについては、こちらの記事で詳しくまとめています。


まとめ
ニュージーランドの教育制度は、日本とは異なる仕組みが多くあります。
5歳から始まる小学校入学、Yearで表される学年制度、4学期制、高校で取得するNCEA、高等教育における大学以外の選択肢など、日本で育った私たちには馴染みのない制度もあります。
しかし、実際に子どもをニュージーランドの教育環境で育てて感じるのは、制度の違い以上に、教育に対する考え方の違いです。
・子ども自身の興味や成長のペースを大切にすること
・学校だけでなく家庭も子どもの成長に関わっていくこと
こうした考え方は、ニュージーランドで子育てをする中で、親として改めて考えるきっかけになりました。
もちろん、日本の教育にもニュージーランドの教育にも、それぞれ良い部分と課題があります。
大切なのは、どちらが優れているかを比べることではなく、子どもが育つ環境を理解し、その中で家庭としてどのように関わっていくかを考えることだと思います。













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