海外育児で子どもが言葉を切り替えられない理由とは?「耳の準備ができていない」と言った6歳の話

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海外で子育てをしていると、子どもがすぐに言葉を返さない場面に出会うことがあります。

「聞いていないのかな?」

「ちゃんと理解できているのかな?」

と感じてしまうこともありますが、実はそうではないと気づいた出来事がありました。

ある日の食事中、いつものように私が日本語で、妻が韓国語で話しかけていたときのことです。

そのとき息子が言ったのが、

「まだ耳の準備ができていない」

という一言でした。

最初は少し驚きましたが、よく考えてみるとこの言葉にはトリリンガル環境ならではの特徴がよく表れていると感じています。

この記事では、ニュージーランド在住の日韓家庭でトリリンガル育児を現在進行形でおこなっている筆者(父親)が、海外で育つ子どもが言葉の切り替えの時、彼らの頭の中では何が起きているのかを実体験から整理してまとめています。

目次

「耳の準備ができていない」とはどういう意味か

このときの息子は、直前まで隣に住む同級生と遊んでおり、英語でのコミュニケーションが続いていました。

また特にこの時の息子はまだ英語が苦手であったため、頭の中が英語の状態になっていたと考えられます。

その結果、日本語や韓国語で話しかけられても、すぐには処理できなかったのでしょう。

実際に少し時間をおくと、問題なく日本語の会話に戻ることができました。

このことから、「理解できない」のではなく、「切り替えに時間が必要な状態」だったと感じています。

また、この感覚は子ども特有のものではなく、大人でも似たような経験があります。

私自身、韓国系スーパーで英語と韓国語を中心に仕事をしていますが、日本語を使うこともあります。

そして日本語での対応後に韓国語へ戻ろうとすると、言葉がすぐに出てこないことがあります。

複数の言語をその場その場で切り替えながら使っていると、必要な言葉がすぐに出てこないことがあります。

このように言語の切り替えには、ある程度の時間が必要なのだと実感しています。

トリリンガルの子どもに起きていること

複数の言語環境で育つ子どもは、それぞれの言語を無意識に切り替えながら生活しています。

わが家の場合も、

・母親とは韓国語

・父親とは日本語

・学校では英語

というように、場面ごとに使う言語が自然に変わります。

こうした環境では、「どの言語を使うか」をその都度判断しながら会話をしている状態になります。

そのため、ひとつの言語に集中しているときに、別の言語に切り替えるには少し時間が必要になることがあります。

特に、遊びや学校などでひとつの言語に長く触れていた直後は、頭の中がその言語の状態になっているため、すぐに別の言語へ移行するのが難しくなることもあります。

今回の「耳の準備ができていない」という言葉は、まさにその“切り替えの途中”の状態を、子どもなりに表現したものだと感じています。

また、このような切り替えのプロセスは成長とともにスムーズになっていくことも多く、最初から完璧にできるものではないという点も、理解しておく必要があると感じています。

なぜ言語の切り替えに時間がかかるのか

子どもは複数の言語を、それぞれ独立したものとして覚えているわけではありません。

その場の状況や相手に応じて、どの言語を使うかを無意識に選びながら話しています。

そのため、ひとつの言語を使っている状態から別の言語に切り替える際には、頭の中で言語の整理や選択が必要になります。

特に、遊びや学校などでひとつの言語に長く触れていた直後は、その言語の状態が頭の中に残りやすく、すぐに別の言語へ移行するのが難しくなることがあります。

実際にわが家でも、英語で遊んできた直後は日本語や韓国語への反応が少し遅くなる場面が見られました。

これは「理解できない」のではなく、「今使っている言語から切り替えている途中の状態」だと感じています。

また、言語を切り替える際には、単に言葉を選ぶだけでなく、発音や文の組み立て方も同時に切り替える必要があります。

そのため、特に複数の言語を日常的に使っている子どもほど、この切り替えに時間がかかる場面が出てくるのは自然なことだと考えています。

「耳の準備ができていない」という言葉は、まさにその状態を子どもなりに表現したものだと感じています。

よくある誤解:「理解できていないのでは?」

子どもがすぐに言葉を返せないと、

・「ちゃんと理解できていないのでは?」

・「聞いていないのでは?」

と不安に感じてしまうことがあります。

特に、何も返事がない時間が続くと、「本当に伝わっているのか」と心配になる場面もあると思います。

しかし、これまでの経験から感じているのは、必ずしもそうではないということです。

実際には、頭の中で言語を切り替える準備をしているだけで、理解そのものには問題がないケースも多くあります。

わが家でも、少し時間をおいてから返ってくる言葉の方が、内容をしっかり理解したうえでの返答になっていると感じることがありました。

また、表情や行動を見ていると、言葉には出ていなくても理解している様子が感じられることもあります。

そのため、「すぐに反応がない=理解していない」と決めつけるのではなく、言葉以外の反応も含めて様子を見ることが大切だと感じています。

少し待つことで、子ども自身の中で言語が整理され、自然に言葉が出てくることも多くあります。

 実際に感じた変化

この出来事をきっかけに、「すぐに返事が返ってこない=理解していない」とは限らないと考えるようになりました。

以前であれば、反応が遅いと「聞いていないのかな?」と感じてしまい、もう一度言い直したり、少し強めに声をかけてしまうこともありました。

しかし、「言語の切り替えに時間がかかる」という視点を持つようになってからは、すぐに答えを求めるのではなく、少し待つことを意識するようになりました。

例えば、声をかけてもすぐに返事がないときでも、そのまま数秒待つだけで、自然と日本語で返事が返ってくる場面が増えたと感じています。

また、叱っている場面でも、すぐに反応がなくても「理解していない」と判断せず、少し時間をおいてから改めて様子を見るようになりました。

その結果、子ども自身が言葉を整理してから返答することが増え、以前よりも落ち着いて会話ができるようになったと感じています。

このように、親の関わり方を少し変えるだけでも、子どもの言葉の出方や会話の流れが変わってくることを実感しています。

 言葉が混ざるのは問題なのか

海外で子育てをしていると、

「言葉が混ざってしまうのは大丈夫なのか?」

と不安に感じることもあると思います。

わが家でも、

「진짜 easy だね」(ホントに簡単だねの意味)

のように、複数の言語が混ざることがあります。

しかし、これは言語が混乱しているというよりも、それぞれの言語を使い分けている状態だと感じています。

実際に、ある言語でうまく表現できないときに、別の言語の言葉で補っている場面も多く、子どもなりに「一番伝わる方法」を選んでいるように見えます。

また、語彙がまだ十分でない段階では、ひとつの言語だけで完結させるよりも、複数の言語を使いながら表現する方が自然なことでもあります。

そのため、無理にひとつの言語に統一させようとするよりも、まずは「伝えようとしている内容」そのものをしっかり受け取ることが大切だと感じています。

実際に、こうした混ざり方も成長とともに少しずつ減っていき、必要な場面ではそれぞれの言語を使い分けられるようになってきました。

つまり、「混ざる」という現象は一時的なものであり、言語発達の過程のひとつとして自然に起きているものだと捉えています。

やってしまいがちな対応

言葉が出てこない場面で、ついやってしまいがちな対応もあります。

例えば、

・すぐに答えを求めてしまう

・正しい言い方をその場で何度も言い直させる

・ひとつの言語だけで話すように強く促す

といった対応です。

もちろん、言葉を教えること自体は大切ですが、タイミングによっては子どもにとって負担になってしまうこともあります

特に、言語を切り替えている途中の状態では、さらに負荷がかかってしまい、かえって言葉が出にくくなることもあると感じています。

また、「早く答えなければならない」というプレッシャーがかかることで、言葉を選ぶ余裕がなくなってしまうこともあります。

その結果、本来持っている力をうまく発揮できない状態になってしまうこともあるのではないかと感じています。

そのため、まずは子どもが話そうとしている内容を受け止めたうえで、必要に応じて自然な形で言い換えてあげることを意識しています。

無理に正しい形に直すのではなく、「伝えようとしていること」を大切にすることで、安心して言葉を使える環境を作ることができると感じています。

親として意識していること

このような経験を通して、意識するようになったことがあります。

それは、「すぐに直そうとしない」ということです。

言葉が出てこなかったり、混ざってしまったりしても、まずはそのまま受け止めるようにしています。

その上で、例えば子どもが混ざった言葉で話したときは、否定せずに自然な日本語で返すことで、無理のない形で言葉に触れられるようにしています。

また、すぐに答えが返ってこない場面でも、急かさずに少し待つことを意識しています。

そうすることで、子ども自身が考えて言葉を選ぶ時間を確保できると感じています。

こうした積み重ねによって、少しずつ言葉の使い分けや表現の幅が広がっていく実感があります。

また、日本語に触れる時間を日常の中で作ることも続けています。

特に絵本の読み聞かせは、言葉のインプットだけでなく、会話のきっかけにもなりやすいと感じています。

実際にどんな絵本が効果的だったのか、また子どもがどのように変化していったのかについては、別の記事で具体的にまとめています。

 まとめ

「耳の準備ができていない」という言葉は、トリリンガルの子どもが言語をどのように処理しているのかを、とてもわかりやすく表していると感じました。

子どもがすぐに言葉を返せない場面があっても、それは「理解できていない」のではなく、頭の中で言語を切り替えている途中であることも少なくありません。

実際に、少し時間をおくだけで自然に会話が再開することも多く、言語の切り替えには“待つこと”が大切だと実感しています。

また、言葉が混ざることや、すぐに言葉が出てこないことも、複数の言語を使っているからこそ起きる自然な現象のひとつです。

大切なのは、「正しく話させること」よりも、「伝えようとしていること」を受け止めることだと感じています。

そのうえで、日常の中で無理なく言葉に触れる機会を作っていくことで、少しずつ言語の力は育っていくのではないでしょうか。

海外での子育ては不安も多いですが、子どもは子どもなりに、しっかりと言葉を使い分けながら成長しています。

同じような環境で子育てをされている方にとって、少しでも安心につながる内容になれば幸いです

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